魔術師としての象徴ともいえるマイ杖を手に入れたRasuさん。
業務リーダーのラミナス・ボラスさんの指示を受け、スキングラードのジェイナス・ハシルドア伯爵のもとへ、本の返却を要請しに行く。
スキングラードにアポ無しで失礼
ラミナス・ボラスさんによると、「魔術師ギルド員としての肩書」を使えば、伯爵へのお目通りがかなうらしい。
お偉方にアポも取らずに突撃してよいものなのだろうか……

メルカトール・ホシダスとかいう地図を描いていそうな奴に話を通すと、翌日に街の外で面会をセットするとのこと。
いや、忙しい人っぽいのに次の日に即アポが取れるのはおかしいだろう。街の外で会えというのも面談のセッティングとしていかがなものか。なんだか全てが疑わしい。
死霊術師と吸血鬼の襲撃

面会場所には、奇抜なファッションのお方が出待ちしてらした。
ドクロマークは……家庭科の時間に作るナップザックくらいでしか使わないんじゃないかな……
少なくとも、公の面会に着て来るにはTPOを弁えていない。
社会人として、いささか身だしなみへの配慮に欠けると言わざるを得ない。
せめて私のように、毛皮のベストを地肌に着るくらいには正装して来て頂きたいところ。

なんか、メルカトールさんの風向きも怪しい。
「騙して悪いが、光栄に思え」
的なことを言ってくる。嫌な予感がする。

案の定、襲い掛かってきた。
こいつら、本当に血の気の多い連中である。よかろう。社会人としてのマナーを研修してやろう。
まずはドレモラ・ロードさんと私、ジョフリーさんにマーティンの四人へのロールプレイ研修からだ。
グループワークを通してファッションと敬語の使い方を学ぶとよいぞ。

なんか、いつの間にかやって来ていた伯爵に思いっくそ斬りかかられている。
たぶん、また誤射しちゃったんじゃないかな……
魔法をいい感じに発射するのはいまだに慣れない。

とりあえず降参しておいて、話し合いのテーブルに着く。とりあえずは本を返してもらおう。
しかしこの伯爵、えらく口が悪い。
- 「お前は考えられない阿呆だな」
- 「今回はお前の間抜けさが役に立った」
- 「礼の一つでも欲しいものだな」
……伯爵ゥ、カスハラってご存じか?
ここに土下座強要が加わればトリプル役満である。
やはりこの地の人間には、コンプライアンス遵守の意義を教え広める必要がある。
結局は魔術師ギルドにこき使われていただけだった
伯爵とお話すると、どうも本の貸し借りなんてものは最初から無く、伯爵と死霊術師達の関係を探るための捨て駒として、私は都合よくギルドから送り込まれただけらしい。
やっぱり魔術師ギルドはブラックである。
この任務の直前に修行者の地位に任命されたばかりなことも考えると、やはりこの組織は根本的にやりがい搾取で労働力を確保しようとする体質があるらしい。誠に嘆かわしい。
あと、

伯爵に攻撃されたことで吸血症にかかってしまった。
錬金術のおかげで治療薬をその場で作れて事なきを得たものの、下手したら吸血鬼になってしまって人生を棒に振っていたところである。これ、労災下りないか?

業務リーダーに報告ついでに労災申請をしたが、はぐらかされてしまった。なんたる。
加えて、ギルドとしては伯爵が吸血鬼なことも知ったうえで、世渡りのために手を組んでいるらしい。
なんとも末端に優しくない組織である。
“イヴォーカー”(「呼び起こす者」という意味らしい)へと昇格させられたが、正直そんなに嬉しくない。
呪文吸収のアミュレットももらったけど……なんだか軽くあしらわれただけな気もする。
なおラミナス・ボラスさん自身からは、この件でしきりに謝られた。彼も彼で、中間管理職として思うところがあるのだろう。
世知辛い世の中である。私はこんな思いをするために魔術師になったわけではない。
魔術師ギルドの悲しい組織風土を前に、五月病に悩む新卒社員みたいになりながらも次回に続く。