This post is also available in: English (英語)
**Featured by the developer**
~本記事は、開発者様より御紹介を頂いた作品のレビューです。金銭的な提供は受けておらず、中立的な立場から執筆しています。~
インディーゲームをひたすらクリアしては感想を書く企画、IndieGame100の三作目は、こちらの【Dungeon Antiqua】を取り上げる。
ナイスな創作ネタを探している方から、ゲーム探しが大好きなあなたまで。
自力でHARDの裏ボス撃破と自力でアイテムコンプリート率89/91までどっぷり堪能した筆者が、正直な感想を書いていってみたい。
ネタバレはしない方向で書くので、安心して欲しい。
ちなみに、このゲームはFC期のFinal FantasyとWizardryにインスパイアされているとのことだが、筆者のプレイ履歴は
- FF1 PS版のリメイクのみプレイ。エンディングまでクリア。(SFC以降は6,7,8,9,10をプレイしたが未クリア)
- Wizardry1 PS版のリルガミンサーガをプレイ。エンディングまでクリア。ムラマサ・聖なる鎧・手裏剣の三種の神器をコンプリート。(なぜかムラマサは二本手に入った)。(2以降で触ったのは3のみ。ウィズダフネも序盤だけやった。)
- Wizardryインスパイア作品としては世界樹の迷宮シリーズ(X裏ボス未討伐、3は裏ボス討伐したが図鑑は未コンプリート、他シリーズ作品は全て最高難度でコンプリートして真エンドまで到達)、ルフランの地下迷宮クリア後ダンジョンまでクリア、エルミナージュ(1を表クリア、2を裏ボス撃破と図鑑コンプリートまでクリア、ゴシックを表クリア)、Bushin0 alternativeをプレイしたが序盤で挫折
- D&Dは第五版を実卓で一回プレイ。一人六役同時進行のソロプレイで6回セッションほどプレイ
なので、そもそもそこまで元ネタに詳しくはなく、どちらかというとWizardryインスパイア作品やD&Dのほうが馴染みがあることはお含みおき頂きたい。
- キャラ間格差が小さく、愛着あるパーティーで最後まで進めるのにちょうどいい難易度設計。
- 基本システムや探索テンポへの配慮など、「古典の持つ特有の無慈悲さ」を親切設計へとコンバート。誰でもカジュアルに楽しめる古典体験。
- HARDモードのおかげで、ダンジョンにヒリつく歯ごたえを求める人にもお勧めできる。
- シンプルさの裏返しで、現代基準だとキャラ育成や編成のカスタマイズ性が弱いのが少し残念
というわけで、いってみよう!!
ゲームの概要
ジャンル:RPG
デベロッパー:Shiromofu Factory
パブリッシャー:Shiromofu Factory
開発国:日本
1980|~1990年代のWizardryとFinal Fantasyにインスパイアされた、ダンジョン踏破型のRPG。
自分オリジナルのパーティーを作成し、ひたすら育成とアイテム収集をしながら戦力を強化していき、罠とモンスターのひしめくダンジョンの踏破を目指す。
シナリオ・転職システム・編成システム・職業特性・罠のシステムと種類・拠点のつくり・敵キャラのグラフィック・UIの表示位置や内容はWizardryオマージュ。
BGM・青を基調としたUIの配色・プレイヤーキャラのグラフィック・2Dの見下ろし型のマップ・サイドビュー戦闘のレイアウトや魔法名の命名規則は初期のFinal Fantasyインスパイア。

豊富なアイテムの元ネタとUIはWizardryとFinal Fantasyを組み合わせた作りとなっている。
また、ニューゲームのたびにダンジョン構造がランダム生成され、ダンジョン突入のたびに宝箱の配置も変わるので、リプレイ性も高い。
筆者の場合、プレイ時間は表クリアまででNormalで4時間36分、Hardで5時間24分。


ちなみに、最後の最後の裏ボス撃破までのクリア時間はHardで14時間43分だった。
以下、感想をつらつらと書いていく。
キャラ間格差が小さいおかげで、最後まで愛着ある初期メンバーで進める
個人的に、Dungeon Antiquaで滅茶苦茶推したい点。
この手のキャラメイクするタイプのゲームは、特定ジョブが強すぎるor弱すぎることにより、途中で二軍落ちするメンバーが出てきたり、逆にいないことで詰まったり、なんなら初期から最後までずっと不遇なジョブがいることは珍しくない。
そうした瞬間に、「自分自身で作ったキャラへの愛着」までも否定された気持ちになってしまった経験のある方はいるはずだ。
Dungeon Antiauaの凄いところは、キャラ間格差を縮めて全体的にデフレさせる方向でバランスを取ることで、悲しい思いをするジョブを無くす方向に舵を切っているところだ。ここでは、例として初期職のとうぞくと上級職のサムライを見ていこう。
とうぞく

盗賊系のキャラは、Wizardryオマージュ作品だと基本的に強すぎるのが通例だ。
本家Wizardryでは店売りアイテムが最序盤向けのラインナップしかないため、宝箱を安全に開けられる盗賊がいなければ、中盤向け装備の入手すらほぼ不可能になり、実質詰んでしまう。
あまりに盗賊の有無で難易度が変わるため、
Wizardryは5人のパーティメンバーを自由に編成するゲームだ。盗賊は固定キャラだからね!HAHAHA!!
的な書き込みを以前見かけたことがあるくらいだ。
そんな盗賊は和製Wizardryオマージュ作品のエルミナージュシリーズや世界樹の迷宮シリーズでも猛威を奮っている。
エルミナージュシリーズでは、宝箱の罠解除だけでなく、敵の装備を盗む(しかも盗める装備のラインナップが繋ぎとして優秀なものから最終装備級まで漏れなくカバーしている)能力により、やはりいるかいないかで装備の質が天と地ほど変わってしまう。
世界樹の迷宮シリーズでは旧2のレンジャーとダークハンターが盗賊系イメージの職にあたる。
世界樹の迷宮シリーズに宝箱の罠システムは無いものの、レンジャーは圧倒的な探索能力(フロア二階層近くの間、エンカウント率をゼロにしたり、敵の先制を確実に防いだり)に優れ、RTAのお供と化している。
ダークハンターは、最終裏ボス相手ですら数ターンの間あらゆる行動を完全封印するオールボンテージに、ほぼ全てのボス相手に簡単な条件で即死を決めることのできるジエンド、超絶威力のカウンター技のトラッピングと、搦め手に特化しているからとはいえあまりにやりたい放題が過ぎるアッパー性能をしていた。
「普段パッとしないが、特定の場面で輝く」という個性付けは、往々にして輝きすぎることになる。
(これら二作品を貶める意図は無いので、そこはご容赦を。なんなら旧世界樹2もエルミナージュ2も裏ボスを倒してアイテム図鑑をコンプリートして真エンディングに到達するところまでやっているくらいには好きだ。)
さて、翻ってDungeon Antiquaのとうぞくをみてみると、その性能はかなり大人しい。
クリア後にレベル30を超えだすと罠解除率が100%になることもあるが、序盤の罠解除確率は38%とかそのくらいだ。
罠解除に失敗しても(手に入るものの質は落ちるようだが)アイテム自体は手に入る。罠自体も最序盤以外はそこまで致命的ではないし、なんなら体感で4割くらいの宝箱には罠がついていないので、罠を踏み抜きながらアイテム集めしていくストロングスタイルでも、そのうちアイテムは集まる。
じゃあ、盗賊はいらない子か?と言われるとそんなことは一切なく、アイテム集めの効率が上がることで戦力増強に確かに貢献してくれるし、Dungeon Antiquaでは消費アイテムが全体的に高性能かつ高価なので、お金があればあるだけ便利アイテムを使い倒して攻略を楽にすることができる。
- とうぞくの罠解除率が控えめ
- 罠の付いていない宝箱が半分近くあるので、いないならいないでなんとかなる
- 罠自体も大して痛くない
- とうぞくがいるだけで、実質的に有用アイテムが出る確率は確実に上がる
このあたりの塩梅が本当に絶妙で、強すぎる位置ではないけど、弱すぎもしないという形で「実質パーティー固定ゲーやん」という感想が出にくくなるのはうまいなぁ!と思った。
サムライ

時々ダメージが二倍になる特性を持ち、まほうつかい呪文も使える前衛。
職業考察のページで検証したところ、ダメージが二倍になる確率はLv13~14で14%だった。
つまり、職業特性は実質的にダメージ期待値1.14倍ということになる。これもまた、強すぎるわけではないが、確実に役に立つラインを攻めている。
このあたりの感覚は普段遊んでいるゲームによって変わって来るのかもしれないが、筆者的には
- ダメージ1.1倍 ……スキル効果のオマケでついて来るには嬉しいけど、これをメイン理由としてアタッカー採用はしない。
- ダメージ1.2倍 ……対ザコアタッカーとしては採用理由が弱いが、ボスキラーとしての大砲役の場合、この係数があるかないかでリソースが切れる前に倒しきれるかどうかが変わるゲームが多い印象。
- ダメージ1.3倍 ……天下人様。ソシャゲを見ても「人権キャラ」扱いされるアタッカーは下位ランクの1.3倍のダメージを出すくらいがボーダーな印象がある。
- ダメージ1.4倍~ ……一見強そうだが、ダメージを出すために特殊な制約があったり、運用面で他の有用キャラとの相性が極めて悪くなるように設計されていたりして、うまく力を発揮するのが極めて難しい。
というイメージが勝手にある。
この中で見ると、ダメージ期待値1.14倍は絶妙。ギリギリ個性として成立するが人権キャラ扱いにはならないくらいのラインで、この調整のおかげで敵ボスの耐久力が過度にインフレせず、ゲーム全体を通じて好きなパーティーで戦えるラインに抑えているのがいいと思った。
誰でもカジュアルに楽しめる古典体験
Dungeon Antiquaをプレイしていて特に感じたのが、随所に見える古典へのリスペクトと親切な作りを両立しているところだ。
FFは原典のほうでもそこまで鬼畜というわけでもないが、問題はWizardryのほうだ。
原典たるWizが(そしてWizが準拠しているD&Dが)あまりにも無慈悲かつ初心者お断りな作りなため、”とっつきにくさの権化の古典”と化してしまっている。
本作は、そのとっつきにくさにメスを入れる形で、古典を気軽に楽しめるような配慮がなされている。
少し、詳しく見ていこう。
アイテムとお金の管理がパーティー単位で快適
たぶん、Wizardry未経験の方は、「ナニソレ?」という感じだろう。
順を追って説明すると、WizardryはDungeons and Dragons などのTRPGを、コンピュータ上で再現するコンセプトのもと設計されている。
メインデザイナーはロバート・ウッドヘッド(Robert Woodhead)とアンドリュー・グリーンバーグ(Andrew C. Greenberg)である。当時、コーネル大学の学生だった2人がそれぞれ作成していた『パラディン』『ダンジョンオブディスペア』というゲームを互いに評価し、『ダンジョンズ&ドラゴンズ』(D&D)に代表されるRPGを、大学でのコンピュータ支援教育に用いられていたメインフレームよりも規模の小さな個人向けのパソコンで再現するため製作したものが、本作のシナリオ#1である。
出典:Wikipedia 『ウィザードリィ』
URL:
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%82%B6%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%AA%E3%82%A3
上記内容はCC BY-SA 4.0(https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0/deed.ja)のもとで利用しています。
最終更新 2025年11月13日 (木) 15:04 より引用
で、だ。
TRPGは基本的にはアイテムやお金は、個々のプレイヤーが自分のキャラのぶんを管理するのが一般的だ。
- パーティー内で物の貸し借りをするロールプレイのため
- ものぐさなお調子者が、酒場で「今日はツケといて!」というロールプレイの余地を作るため
- 昨日今日会ったばかりのメンバーが「報酬は山分けにしよう」と交渉して、正式にパーティーを組む様式美的な流れづくりのフックとするため
- 「荷物運び役」自体を一つの役割として成立させるための設計
など、理由はいろいろ考えられるが、基本的にはアイテムやお金はキャラクター個人に属するのがお約束となっている。
これを再現するためか、Wizardryやそれにインスパイアされたエルミナージュシリーズなどでも、アイテムやお金はキャラクターごとの管理となっている。
誰かが入手したアイテムを他のキャラに装備させたいなら「アイテムの交換」コマンドを使わなければならないし、店で個別に戦利品を売り払った後は「お金を一人に集める」コマンドを使って、誰か一人にお金を集中して管理しなければいけない。
こう書くと、読者の方々はこう思われるはずだ。
え?戦闘や店のたびにアイテム欄開いて、交換を繰り返すの?めんどくね?
実際めちゃくちゃめんどい。
TRPGとしては本当に美味しくて「その世界の住民として生きている!!」ことを実感できる素晴らしいシステムではあるのだが、一人で遊ぶ電子RPGとしては、極めて面倒で、かつ特に面白い要素の無いシステムなのだ。
本作のDngeon Antiquaでは、そうした要素を全てカットし、お金とアイテムはパーティー単位での管理となっている。
古典への明確なリスペクトを示しながらも、プレイヤーへの配慮を最優先する。
この姿勢は、Dungeon Antiquaに通底する思想となっている。
キャラロスト無しで安心。「いしのなかにいる!」も無い。
Wizardryといえばキャラロスト。キャラロストと言えばWizardryというくらいに、ロストはWizardryの代名詞となっている。
Wizardryではキャラクターが死亡し蘇生を行おうとした際、失敗してしまうとそのキャラクターは灰になる。
その灰の状態からさらに蘇生に失敗してしまうと、キャラクターは電子の海へと永遠に消え去ってしまう。
Wizardryならではの無慈悲な要素であり、後続のインスパイア作品でも、このシステムは「味」としてそのまま継承されたり、流石に鬼畜すぎるからかオミットされたりと、扱いは様々だ。
Dungeon Antiquaではキャラロストの要素そのものが無い。安心安全の設計だ。
Wizardryのもうひとつの代名詞である「いしのなかにいる!」(テレポーターの罠でダンジョン内の壁にめり込む位置へと飛ばされ、壁と同化してしまって動けなくなりキャラロスト)も存在しない。
全滅しても自動で城まで戻され、一人は必ず蘇生された状態になる
Wizardryやインスパイア作品のエルミナージュシリーズ等では、パーティーが全滅するとダンジョン内に彼らの死体が転がったままとなる。
キャラクター達を再びパーティーに加えるには、救助するためのメンバーを別途鍛え上げ、全滅したキャラクターたちの元へと向かわせるしかない。
Dungeon Antiquaにおいては、持っていたお金こそゼロになってしまうものの、全員が自動で城まで戻されるし、パーティーの先頭キャラ一人は必ず蘇生済みの状態になる。
先述のキャラロストがない仕組みのおかげで、生き残りの先頭キャラ(たいていは単独での戦闘力の高いせんし)で戦ってで小銭を稼いだり消耗品を売り払ったりすれば、パーティーの蘇生費用の捻出は十分に可能だ。
城に帰還するだけで全回復なので探索のテンポがいい
上記の全滅からの立て直しにも嬉しい要素が、宿屋に止まる必要がないこと。
一切お金を払うことなく全回復できるので、全滅を過度に恐れなくてもいいし、通常探索においても気軽にレベリング・トレハンをしては休憩して再出発するサイクルを回すことができ、気軽にプレイできる。
レベルアップ時の能力低下や老衰無しでストレスフリー
これもWizardryやTRPG(特に冒険企画局製)に馴染みのない方にはピンとこない要素かもしれないが、クラシックスタイルのゲームだとレベルアップ時に能力が低下することは普通にある。
なんなら、レベルアップ時に能力がマイナスになった瞬間にキャラロストするルールが取り入れられている作品もある。
また、Wizardryではキャラクターに年齢の概念があり、ゲーム内日数が進めば進むほどキャラは老衰していき、レベルアップ時に能力低下が起こる可能性が高くなっていく。
Dungeon Antiquaではレベルアップ時に能力が下がることはないし、老衰の概念もない。
マップがいつでも見れて、未探索部屋も即座に分かるので探索に集中できる
本作では、キャンセルボタン長押しでマップを見ることができる。この時、未探索の部屋=お宝が眠っているかもしれない部屋も即座にわかるので、サクサクとダンジョン探索を楽しめる。
序盤から利用可能な移動呪文”バードアイ”の存在が嬉しい
まほうつかいが最序盤に覚える呪文、”バードアイ”は、一度行ったことのある場所へとオートで歩いていける呪文だ。これにより、既に探索済みのエリアを延々さまようことなく、サクサクと前へと進むことができる。
パーティー人数5人なので、気軽にピンチと緊張感が演出されつつ、ほどよい難易度
このDungeon Antiquaでは、パーティーの人数がWizardryの6人でも初期FFの4人でもなく、5人となっている。
この人数が絶妙だ。
ものすごく単純な計算をしよう。
パーティー人数が6人の場合、一人倒されてしまった場合の戦力損耗は1/6 = 0.16666だ。
パーティー人数が4人の場合、一人倒されてしまった場合の戦力損耗は1/4 = 0.25だ。
その比は約1.500倍。
つまり、あえてざっくりとした表現をすると、4人パーティーだと「一人倒されてしまった時のしんどさ」は6人パーティーの約1.5倍だ。
これが何を意味するかというと、難易度を同じに調整するなら、少人数パーティーほど『即死攻撃や大火力単体攻撃で攻撃されて、誰かがやられてしまう!やばい!!』というシチュエーションを作りづらい構造になっているということだ。
「誰か一人が戦闘不能になる」という事態は、ピンチの演出としては極めて有効なものの、しんどさ度合いが1.5倍になってしまうと難易度は跳ね上がってしまう。
となると、同じ難易度のもとで設計したいのなら、少人数パーティーでは誰かがやられてしまう場面は減らさざるを得ない。そうすると、一番美味しいピンチの演出手段が減ってしまう。痛し痒しだ。
また、逆に大人数パーティーにも問題はある。敵の全体攻撃の脅威度合いが上がりすぎるうえに、味方の単体回復手段の価値が下がりすぎてしまうのだ。
たくさんの味方を攻撃される方が被害は大きい。そうなればなるほど全体回復手段の価値がどんどん上がっていき、相対的に単体回復手段の価値が下がっていく。
先述した通り、大人数パーティーでは単体攻撃で一人が倒れたところで実際のしんどさはそこまで致命的にはなりにくい。
大人数パーティー相手にゲームとして難しい試練を与えようとすると、全体攻撃を連発させるしかなくなり、結果的にプレイヤーサイドは毎ターン脳死で全体回復連打が安牌になってしまって、せっかくの接戦が作業ゲー化するリスクを構造的に孕んでいる。
この問いに対しての答えが、Dungeon Antiquaの5人パーティーだ。
この人数だと、「一人やられた!やばい!!」という状況を演出しつつもゲーム実態としてはそこまでやばい事態にはなっておらず、かつ、全体攻撃の脅威を体感させつつも単体回復でなんとかできる塩梅になっている。
攻略記事のほうでも触れたが、「カース3(単体のHPを1にする魔法)→弱攻撃」を多用する敵が多かったり、全体回復魔法がそもそも存在しなかったりするのは、こうしたバランス調整を行ったことでの自然な帰結なのだと思う。
HARDモードとアイテム図鑑のおかげでガチ勢も安心
Dungeon Antiquaではゲーム開始時に難易度を選択できる。
初心者向けのHARDモードと、慣れたプレイヤー向けのHARDモードがあり、HARDモードでは
- 敵が強くなる
- 得られる経験値が増える
- 戦闘で逃走失敗することがある(Normalだと筆者は一度も逃走失敗したことが無いがHardでは結構失敗した)
- ドロップ品の質が良くなりやすい?(とうぞくのレベルが上がりやすいので、結果的にそうなっているだけかも)
といった違いがある。
正直なことを言ってしまうと、筆者としては実はNormalだとちょっと物足りなかった。
「楽しいけど、ダンジョン探索にはもうちょっとヒリついたスリルが欲しいかなー」と思って、試しに検証のつもりでセカンドデータでHardを選んだところどっぷりハマり、記事を書くのもそっちのけで裏ボス撃破までやりこんでしまった。

筆者はNormalでは一度も全滅しなかったが、Hardでは表クリアまでに、記録の上では少なくとも三回は全滅している。
そのたびに作戦を見直し、装備を整え、キャラを鍛え、改めて未踏の地に挑む。
敵を無力化するのに有効なデバフは?
耐性装備として何が必要か?
装備のツモが悪くてもゴリ押せるくらいにキャラを鍛え上げるか?
どこなら安全に鍛えられる?
鍛えるのに時間を投入するより、先に進んで強力なアイテムを強引に確保してしまうほうが効率的か?
最高にダンジョン探索をしている瞬間だった。
試練に挑む覚悟があるのなら、是非Hardモードをプレイしてみて欲しい。
Dungeon Antiquaは、実りある苦難を以て応えてくれるはずだ。
また、表クリア後にはアイテム図鑑の機能が解放される。これにより、アイテムコンプリート沼にもしっかり対応している。筆者は自力では89/91までしか埋められなかったが、皆さんは是非コンプリートを目指してみて欲しい。
シンプルさの裏返しでカスタマイズ性が弱いのは残念
ここからは、ちょっと残念だったところに触れる。
といっても、残念だったのはぶっちゃけ次の一点に集約されるし、そもそも作品全体のコンセプト上、あえてそういう設計にされていらっしゃるだけな気もするのだが……
キャラメイクできるゲームなのに、カスタマイズの余地が現代の基準だと少な目なことが気になった。
ざっと挙げると
- 職業と種族のシナジー追求(Wizardryや後発インスパイア作品では多様な種族と職業のシナジーがあるがDungeon Antiquaはそもそも種族という概念がない)
- 装備品の特性強化などのカスタマイズ
- スキル獲得・育成やそれらを組み合わせたビルドやコンボ、戦術パターンの構築
- 編成の順番や位置を変えることによる副次効果の発動
- 意外な編成による変則戦法
と言った要素はDungeon Antiquaには無い。
「職業と種族」に関しては、職業考察の記事でも取り上げたように、性別が種族選択の代わりとして機能している部分はあるのだが……
ただ、何度も言うようにDungeon Antiqua自体が古典を親しみやすく、誰でも気軽に体験できるというコンセプトに最適化されている作品なので、これらの要素を入れてしまうと逆に本来の持ち味が濁って本末転倒になってしまう気もする。
それでもやっぱり現代の戦術・育成の複雑さをウリにした作品に慣れてしまった身としては、カスタマイズ性の低さが気になる……というのが、裏ボスまでクリアした人間の正直な感想となる。
まとめ: カジュアルで気軽なクラシック体験&高難度やりこみの両立
というわけで、Dungeon Antiquaの総評になる。
親切設計とオマージュが隅から隅まで徹底されているので、
初期FFやWizardryの名前は聞いたことがあっても敷居が高くて手が出せない……
という方や
あの灰と隣り合わせの青春の日々をもう一度味わいたい……
という方には特におすすめできる。
HARDモードクリアやアイテムコンプリートを目指すというやり込みにも対応していて、そうした要素に惹かれるガチ勢の期待にも応えられる一本。
唯一、キャラメイクゲーとしてのカスタマイズ性の低さは現代のゲーム基準では気になるが、そもそものコンセプトが「シンプルだった頃のクラシック作品へのオマージュ」であることを考慮すると、そもそも問題と言っていいのかどうか判断しかねるところ。
というわけで、Dungeon Antiquaの紹介でした!
関連記事含め、製作者のfrenchbread様から頂いたコメントが非常にためになりました。
改めて御礼申し上げます。
第四回のIndieGame100では、だらねこげーむず/Daraneko Games様の『いのちのつかいかた』を取り上げる予定です。
プレイの進捗は筆者のxでハッシュタグ #IndieGame100 にて呟いていきます!
最後まで読んでくださって、ありがとうございました!!!
前回のIndieGame100 『STRANGER SAGA -流れ者バッチとイスキエルドの野望-』
本作のデベロッパーのfrenchbread様ご本人にもレビュー記事をご覧頂き、温かいコメントを頂きました。
拡大解釈をしすぎていないか内心ビビっていたので、きちんと作者様の意図を汲むレビューが書けたことに安心しております。
