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「TRPG遊びたいんですけど、一緒に遊ぶ友達はどこにいますか???」

恐らく、TRPGをリプレイ動画を通して知り、実際に遊んでみたくなった人が必ず通るのが、「一緒にやる友達がいない問題」だろう。

オンラインセッションができる相手を探せばいい……とはいうものの、それができるくらいなら苦労しないという人も多いはず。

それに、いざプレイできそうな人間の目星がついても「誰もGM経験ないのに、どうやってセッションをするんだ?」となることもある。(あった。)

そんなこんなで、ソロでの一人回しTRPG歴が12年を超えている筆者が、長年の試行錯誤の末辿り着いたソロ特化&GM無しのパーティープレイにも最適化されたTRPG、Ironswornを紹介してみたい。

Ironswornの特徴を三行で
  • 北欧神話のような硬派で過酷な世界で、「鉄への誓い」を果たすために危険な冒険へと身を投じる
  • 独自の「オラクル」システムにより、プレイヤーの意図を超えて物語が半自動的に生成され続ける
  • 一人でもできる。GM無しでもできる。シナリオが無くても遊べる即興特化の作り。 (GMがいてもいい)

では、いってみよう!!

Ironswornの概要

IronswornはShawn Tomkin氏による無料のインディーTRPGだ。

荒れ果てた寒々しい世界を、「鉄」に誓った思いを胸に旅を続け、一人の英雄として足跡を残していく。

物語の半自動生成を可能にする「オラクル」システムを搭載しており、GM無し・事前のシナリオ準備無しの即興セッションをシンプルに行うことに特化しているので、電車の待ち時間にソロでちょろっとだけ遊ぶという遊び方も普通にできてしまう

そんな感じのTRPGだ。

Best Free GameとしてGold ENNIE賞を受賞しており,DriveThruRPGというサイトでは800を超える5つ星評価を受けている……らしい。あんまり日本だと知名度の無い賞だから凄さがいまいち分からんが、とにかく世界的には評価が高いフリーTRPGだ。

何度も言うが無料である。

ルールはこちらの”Ironsworn Digital Edition Rulebook“からダウンロードできる。

これら、基本セットのすべてが無料で公開されている。

リンクを見たあなたは、一瞬戸惑うかもしれない。

「ぜんぶ英語なの?」

と。

残念ながら日本語訳はされていないが、安心して欲しい。

この記事でIronswornの基本的なことは解説する

Ironswornは全体像さえつかめてしまえば、あとはフィーリングでもプレイできてしまうゲームだ。

わからない部分に出くわした時に、要所要所で適当なAI翻訳にぶちこんでしまえばいい。

世界観

基本的な世界観

Ironswornの舞台となるアイアンランドは次のような場所だ。

  • 二世代前に「旧世界」を追われた君たちの先祖は、アイアンランドへと逃げ延びて定住した
  • 気候は寒冷で、特に冬の寒さは容赦なく人々を責め立てる
  • 人々は木、石、藁葺きの家で寒さをしのいでいる
  • 険しい山々や森、荒野の隅に外界と断絶した形で集落が点在し、多くの人は集落の中だけで一生を過ごす
  • 貨幣経済は発展しておらず、人々は小麦や木、羊毛、家畜、鉄などを物々交換している
  • あまりにも過酷な世界過ぎて人口の密集が起こらず、大都市や王国といったものは存在しない
  • そのおかげもあって大規模な戦乱とは無縁だが、野盗や略奪者の群れは村々から容赦なく蓄えを奪っていく
  • 槍・斧・盾・弓が一般的な武器。剣は貴重かつ非常に高価な武器で、持っているというだけでひとかどの人物だとみなされる
  • 広大な未開拓の大地には”Firstborn”(最初の仔)と呼ばれるエルフや巨人、バロウ(狼人間)が独自のコミュニティを形成し、森や山々・海の奥地には”Beast”と呼ばれるバジリスクやリヴァイアサンなどの怪物が闊歩する。呪われたアンデッドの類も稀に遭遇することになる
  • 神秘術師たちは魔法の力で祝福と洞察を手に入れて闇を払うが、往々にしてその力に吞まれてしまう
  • 神秘術師達の魔法はお告げによる情報収集や幻を操ったり、瞑想で自らの力を強めたりするものがほとんどで、いわゆる「火の玉や雷のビームを撃つ」ような魔法はほぼ無い

と、見ての通りハードなダークファンタジーとなっている。

鉄への誓い(Iron Vows)

アイアンランドでは極めて神聖な儀式であり、ゲーム的なクリア目標ともなる要素。

鉄に触れて自らの決意を宣言すると、それは何を以てしても果たすべき誓約となる

決意の内容は「山賊を倒す」「囚われた人質を救出する」「薬の材料を調達する」といった電子RPGのおつかいクエスト的なものでもいいし、「村同士の通商ルートを確立する」「村を苦しめる呪いを解く」「アイアンランドに王国を樹立する」といった戦闘とは無縁な試練でも個人的な野望でもいい。

鉄に触れるというのも、鉄製の武器や防具、指輪、コイン、未加工の鉄鉱石など、鉄製であればなんでもいい。(Ironsworn世界では、何かと鉄製品が良く使われており、装飾品の類すらも鉄でできていることが多い)めいっぱいエモい雰囲気を演出しよう。

ゲーム的な話をすると、鉄への誓いを果たすことだけが経験値を得る唯一の手段なので、キャラを育てようと思うと自然と誓いを達成するために奔走することになる。

ちなみに、誓いを放棄すると精神的なダメージを受ける。小さな誓いであればゲーム的な影響は軽微だが、大きな誓いを放棄すると、ダイス運によっては精神的ショックで廃人になってキャラロストしてしまう

重みを理解したうえで誓おう。

プレイヤーキャラの位置づけ

自分の村から一生外に出ないことも多い村人たちと違い、プレイヤーキャラは広大で危険なアイアンランドを旅し、冒険を通して英雄となっていく。ゲームバランス的に「どうやっても苦手なこと」ができるように作られているうえに割と判定失敗確率も高く設定されているので、失敗を繰り返しながら、山あり谷ありの道を歩んでいく感じの旅になる

世界を創る

Ironswornの凄まじいところのひとつ。

このゲームでは開始時のキャラメイクと並行して「世界そのもの」を創る工程がある。

「作る」とは言っても完全にゼロから作るのではなく、項目ごとに三択の中から選ぶ形なので、アイディアが湧かなくても安心だ。(もちろん、完全にオリジナルの世界にしてもいい。あくまで考える上での素材という立ち位置だ。)

ソロプレイなら任意で、複数人プレイならプレイヤー間で合議して決めていく。

例を挙げよう。

HORRORS(いわゆるアンデッド)に関する「世界を創る」の項目には以下の三つの選択肢がある。

  1. 所詮は子供を怖がらせるための作り話に過ぎない
  2. 人里離れた森や水辺をアンデッドが徘徊している。そんなところに出向くのは愚か者だけだ。
  3. アイアンランドでは、死者は眠らない。夜になると、人々は松明をともし、清めの塩を撒き、守衛を並び立たせる。それだけでは足りない。――奴らはすぐそこまで来ている。

……いかがだろうか?

たった一つの要素だけで、世界観がまるで変わって来るのが分かると思う。

「キャラメイクと並行して世界を創る」というのも納得がいくと思う。

アンデッド狩りに特化した能力と経歴のキャラは、3の世界ならどこに行っても歓迎される英雄になるかもしれないが、1の世界ではただのほら吹き(あるいは昼行燈の始末屋)となるだろう

『自分のキャラがどのような活躍をする世界にしたいか?』

選択肢はプレイヤーにある。

キャラメイク

五つの能力値

標準ルールでは、プレイヤーキャラは次の五つの能力に3,2,2,1,1を任意に割り振る。(数値が高いほど優れている)

  • Edge  素早さ・身のこなしの軽さ・動作の精密さ ゲーム的には遠距離攻撃の命中判定くらいにしか使えない。しかし、後述の『超汎用的なムーブ』との相性が抜群に良く、スピードを活かして縦横無尽の活躍をする。
  • Heart  精神力・勇気・社交性 ゲーム的には交渉や心理的ストレスへの耐性、村への滞在での回復成功率に関わる。Iron Vowの儀式をつつがなく行えるかという、タイミングは少ないもののゲームの展開を左右する判定もある。Heartを参照するタイプの魔法もそれなりにあり、召喚魔法や降霊術など、命に係わる魔法が多い。
  • Iron   力強さ・頑丈さ・勢いの強さ ゲーム的には近接攻撃の命中判定や武力による脅し、肉体ダメージへの耐性に関わる。これが高いと、分かりやすく戦闘力が上がる。
  • Shadow 嘘のうまさ・隠密能力・トリックの巧妙さ ゲーム的には嘘で言いくるめる判定くらいにしか使えないが、後述する『Fiction Firstの原則』により、謀略と隠れ身を駆使した無双が始まることも。
  • Wits   観察力・専門知識・洞察力 ゲーム的にはいかにも知力が役立ちそうな情報収集だけでなく、安全に旅ができるかの判定、ケガの治療に野山での水や食料確保など、サバイバル方面で役立つ判定を多数持つ。Witsを参照する魔法は情報収集系から幻を見せることによる攪乱、対闇の存在専用の攻撃魔法に月夜にダンスして能力値バフを得るものなど、多種多様かつ強力。

この能力値の解説を見て、

「苦手な能力が確定で二つもあると、冒険は成立しないんじゃないの?」

と思われるかもしれないが、安心して欲しい。

後述の『超汎用的なムーブ三つ』でも述べるが、物語的な筋さえ通っていれば、ほとんどの場面で有効な判定を任意の能力で行えるので、案外特定能力だけに特化していてもなんとかなる。

というか、いかに得意な能力を活かせて苦手なものが要求されない方向にお話を転がしていくか?という、他のTRPGだとあまりやらない思考回路を巡らすことになり、これがIronsworn特有のプレイ体験を生むことに繋がっている。

詳しくは後述する。

アセットとロール

これにさらに、三つのアセット(スキル)を習得する。

斧装備時に追加ダメージを与えられたり、隠密行動にボーナスがついたり、円を描くようにして塩を撒いて相手を閉じ込める結界を作りだしたり、個性的なアセットが多数ある。

「データがたくさんあると面倒くさいよ!!とにかく早く、手軽にプレイを始めたいよ!!」という方向けには、「ヒーラー」や「指導者」、「斥候」「神秘術師」などの役割(ロール)をアセットの代わりに採用して(イメージ的にはRPGの職業システムに近い)、キャラメイクと処理を簡易化・高速化する改編案もルールブックでは紹介されている。

初期保有の誓い(Background Vow)と絆(Bond)

キャラの性格付けに関わる部分。

初期保有の誓い(Background Vow)はプレイヤーキャラクターの人生における目標、生きる原動力となる誓いだ。

「行方不明の妹に再会する」「武の道を究める」「アイアンランド縦断旅行を完遂する」「友達を百人作る」「一族の仇を討つ」「故郷を豊かな土地にする」など、そのキャラクターの生き甲斐となる目標を一つ決めてやろう。

この初期保有の誓いは、直接ゲームのメインテーマとなることもあれば、キャラクターの性格付けとして、時々顔を出す程度の役割になることもある。

迷ったら後述のオラクルでランダムに決めることもできるので、あんまり気負わなくてもいい。

絆(Bond)は読んでそのまま絆だ。

ゲーム開始時点では三人のキャラクターに対して絆を結んでいる。絆の相手はパーティープレイならパーティーの仲間に対して優先的に結ぶことが推奨されている。

絆があると説得や村での回復判定にボーナスが付くほか、「冒険者を引退する判定」 (Write Your Epilogue)で有利になり、思い描いた未来を掴んでエンディングを迎えることができるようになる。

ルール

Fiction Firstの原則

Ironswornにおける、最大のゴールデンルール。

ゲーム的な処理の正確さや効率はいったん脇に置き、「お話として筋が通っているか?」「お話として面白いか?」を最優先するというルールだ。

物語生成に特化したIronswornならではのルールだと言える。

何の判定をするか?という時も『Fiction First』の出番だ。

数値的な有利不利よりも「この場面ではこうしたほうが自然だ」「こうしたほうが面白い」「こうしたほうが格好いい」というのを優先するのが、Ironswornの基本だ。

基本的な判定その1 アクションロール

判定の計算方法

Ironswornの基本的な判定方法の一つ。

判定に使う能力値+1D6の値+補正(アクションスコア)  と  1D10を2セット(チャレンジダイス)  の値を比べる

アクションスコアがチャレンジダイスの両方より高ければストロングヒット(大成功)

アクションスコアがチャレンジダイスの一方よりは高いが、もう片方以下であればウィークヒット(部分的成功)

アクションスコアがチャレンジダイスの両方以下ならミス(失敗)

ちょっと他ではあまりない判定なので、例を出そう。

3ポイントのEdgeを使った判定で、1D6で2が出て、アセットの効果で補正が+1だったとする。

この時に1D10の組の値がそれぞれ3と6だった場合……

アクションスコアは 3 + 2 + 1 = 6

チャレンジダイスの値は 3と6

アクションスコアがチャレンジダイスの一方よりは高いが、もう片方”以下”である

→ウィークヒット

ということで、この場合はウィークヒットとなる。

TRPGに興味がある人だと、

「え?目標値は無いの?」

と思われるかもしれない。

その通りだ。

Ironswornに目標値という概念は存在しない。

「その場その場のアクションロールで、アクションスコアがチャレンジダイスを上回っているかどうか」

これだけで、判定の成否が決まる。

ストロングヒット・ウィークヒット・ミスの時にそれぞれ何が起こるかについては、行う判定によって結果が変わって来る。

これに関してはプレイキットの判定一覧ルールブックを参照して欲しい。

マッチ(Match)

チャレンジダイスの値が両方とも同じ時(例えば1D10の組が5,5など)にストロングヒット、もしくはミスが出た時、「マッチ(Match)」が起こる。

これに関しては、いわゆる一般的なTRPGで言うクリティカルとファンブルを想像してもらうのが手っ取り早い。

ストロングヒットでのマッチは予想外の方向で滅茶苦茶いいことが起き、ミスでのマッチは予想外の方向での特別悪いことが起こる。

「予想外のことってなんやねん!」

という方も安心して欲しい。

そのための”オラクルシステム”だ。もうちょっと読んでくれ。

モメンタム(Momentum)

日本語にあえて訳すと「ツキの巡り」という感じになるか。

プレイヤーキャラにとって有利な要素全てを一個の値だけでまとめて管理するシステムだ。

  • 敵の砦の見取り図をゲットした
  • 事前に毒薬を武器に仕込んでおいた
  • ダンジョンをショートカットする道を見つけて時短になった
  • 敵Beastの弱点に関する情報をゲットした
  • 戦う決意を固め、十分な睡眠を取って英気を養った

それらすべての、「有利な要素」をまとめてモメンタムの増加として一括管理する。

逆に、

  • 敵にこちらの計画がバレた
  • すんでのところで敵に逃げられた
  • 行き止まりで時間を浪費した
  • よく眠れなかった

これらに限らず「不利な要素」があると、モメンタムが減少する。

物理的・精神的・社会的・情報的アドバンテージの全てを一括で表すと思えばいい。

このモメンタムを消費して行えるのが、「バーニングモメンタム」 (Burning Momentum)だ。

「いや、バーニングって……」

と日本人的な言語感覚だとちょっぴり愉快な語感になってしまうが、その効果は絶大だ。

効果は「アクションロールを振った後、モメンタムの値より低いチャレンジダイスは成功扱いにする」というもの。

例えばモメンタム8,チャレンジダイスが6と7なら、両方とも成功扱いになるためこの判定はストロングヒットになる。

モメンタム10なら、チャレンジダイスが10と10でない限り(=99%の確率で)、全て成功になる。

まさしく一発逆転の切り札というのにふさわしい。

もっと言えば、

苦手な判定を要求されそうなお話の流れになっていても、道中でモメンタムを溜めておけばバーニングモメンタムで一回だけならゴリ押せる

ということでもある。

超汎用的なムーブ三つ

Ironswornでは個々の判定のことを「〇〇ムーブ」(xx Move)と呼ぶのだが、他のTRPGだとあまり見ない、それでいて汎用性の鬼ともいえる大胆なムーブが三つ存在する

  1. 有利を確保する (Secure an Advantage)
  2. 危険に立ち向かう (Face Danger)
  3. 仲間を助ける (Aid Your Ally)

この三つだ。

これら三つは共通して、「お話の流れ的に自然な任意の能力値を用いて判定する」という、凄まじい判定となっている。

Secure an Advantageは「事前に何か有利な状況を作っておく判定全て」、Face Dangerは「危険に陥った時に打開するための判定全て」、Aid Your Allyは「味方を援護する時全て」に適用できる。

例を挙げよう。

目の前の扉がカギで硬く閉ざされていて、Secure an AdvantageかAid Your Allyで突破したいとする。

このとき、

  • EdgeでSecure an Advantage → 手先の器用さを活かして鍵を針金を使って開ける
  • HeartでAid Your Ally     → 鍵開けをする仲間を軽いユーモアで笑わせ、緊張を取り除く
  • IronでSecure an Advantage → 力任せに扉を叩き壊して道を作る(『Fiction First』なので、音を聞きつけた敵がやってくるかもしれない)
  • ShadowでSecure an Advantage → あえて門番を呼び寄せて、「自分は急用を携えた密使なので、すぐに中に入れてくれ」とペテンにかける  
  • WitsでSecure an Advantage → 鍵のかかっていない秘密の抜け道を探り当てる

という風に、話の流れ上自然で、かつ自分のキャラに有利な方法を描写すれば、そのまま判定できる

Face Dangerに関しては、落石が転がってきている場面を想像すれば分かりやすい。

  • EdgeでFace Danger → 反射神経に任せて素早く避ける
  • HeartでFace Danger → 心を落ち着け、冷静に避ける
  • IronでFace Danger → 力任せに受け止める
  • ShadowでFace Danger → 岩を騙す?『Fiction First』だ。「しゃべる岩がいる世界」を創っていれば可能かもしれないが……
  • WitsでAid Your Ally → 岩の軌道を読み、安全に避けられる位置を味方に指示する

という形だ。

他のTRPGでいう回避や観察、筋力による突破、精神力による自制に謀略や隠密など、あらゆる「アクシデントへの事前対処」「アクシデントに直面した時の対処」「味方を助ける」という要素をギュギュっと抽象化したのがこれらの判定となる。

『Fiction First』に沿ってさえいれば自由に判定できるので、自然と「自分のキャラならこの流れに持っていけば突破できる」という皮算用の元、自然とお話の向く先を誘導できる作りになっている。

「どんな能力でも、汎用的な判定に使える」というルールは他のTRPGではあまり見たことが無い。

類似のものがあるとすれば、サイコロフィクションシリーズくらいだろうか?

基本的な判定その2 プログレスロール

こちらのプログレスロールは

  • 旅の進捗
  • 敵のライフの減り具合
  • クエスト目標の達成度合い

などを進捗バーの形で抽象的に管理するシステムだ。

例えば、旅の進捗が5/10なら旅は丁度折り返し地点、敵のライフの減りが8/10なら勝利目前、クエスト進捗が10/10なら実質的にクリアしていてあとは報告するだけ、といったかたちである。

進捗バーの書き方や判定の詳細は省略する(気になったらルールブックを読んでくれ)が、バーの溜まり具合をプログレススコアと呼ぶことだけ覚えておいて欲しい。

勘のいい読者の皆様はお察しかもしれないが、アクションスコアと同様、チャレンジダイスの二個のD10を使って処理をする。

プログレススコアがチャレンジダイスの両方より高ければストロングヒット(大成功)

プログレススコアがチャレンジダイスの一方よりは高いが、もう片方以下であればウィークヒット(部分的成功)

プログレススコアがチャレンジダイスの両方以下ならミス(失敗)

オラクルシステム

“お告げ”を意味する言葉。それがオラクルだ。

そして、これこそがIronswornが半自動物語生成エンジンたる所以でもある。

  • 判定結果で「オラクルに尋ねろ」 (Ask the Oracle)と言われたとき
  • キャラメイクでネタに困った時
  • 晴れて道が歩きやすいか、雨で道がぬかるんでいて進むのが困難かを決めたい時
  • NPCから聞き出せる情報の内容や、こちらの持ちかけた交渉に対する態度を決めたい時

これらの場面で、「1D100の出目次第で中身が変わるオラクル表」を参照することで、半自動的に物語のネタを供給することができる。

例を挙げよう。

君は盗賊のアジトを探している。

ふと、目の前に農民が棒立ちしているのが目に入った。

情報を聞き出す判定に成功し、そこで得られる情報をオラクルで決めることにする。

実際に今筆者がオラクル表を振ってみたところ、オラクルが示した言葉は「休憩」「愛」だ。

なんだ?これは?

盗賊が彼らの家族と親交を深めるために休むタイミングのことを、この農民は知っていたのかもしれない。

盗賊によって家族を奪われた農民は悩み疲れて立ち尽くすほかなかったのかもしれない。

もしかしたら、盗賊なんて全く関係なく、この農民は単に愛しのあの子のことを思って惚気ているだけなのか?

解釈はプレイヤーにゆだねられている。オラクルは断片的な情報しか出さない。

断片的な情報をもとに、前後の文脈から繋がり、かつ「こういうお話が展開するのを見たい!」という直感に従って、物語のネタをその場で決めてしまうのが、オラクルシステムだ。

たいていのムーブ結果は「オラクルに聞け」 (Ask the Oracle)の指示とセットなので、

なにがしかの行動をする→オラクルが何かを告げる→解釈する→次の場面が自然と決まる→その状況に対応する行動をする→それにまたオラクルが答える→その内容を解釈する→その次の場面が生まれる→……

と、ルールに沿ってオラクルのお告げを解釈していくだけで、お話しがどんどん数珠つなぎに生まれていってしまう

もちろん、明確に「こういうお話の展開に絶対したい!!」というのがあれば、オラクルに聞かずに直感の赴くままに進めてもいい

オラクルは、ルールの上でも「展開に迷う時のスパイス」として使うように書かれている。

(その割に、ほとんどの判定結果がオラクルを参照するよう言ってくるが……)

セッションの流れ

Ironswornのセッションの流れ自体はシンプルだ。

  1. 世界とキャラクターを作る
  2. 導入となる事件を起こす(これもオラクルでランダムに決められる)
  3. 事件解決のために「鉄への誓い」 (Swear an Iron Vow)を執り行う
  4. 事件解決のために動き始める
  5. 場面を描写する(思いつかなかったら「オラクルに聞く」 (Ask the Oracle))
  6. 物語的に良さげな行動を取る
  7. 判定をする
  8. 判定の結果を描写する(困ったら「オラクルに聞く」 (Ask the Oracle))
  9. 6に戻る

この流れで物語を半自動で進めていき、事件解決クエストのプログレススコアがいい感じに溜まったところでプログレスロールを行って、事件が解決したかどうかを判定する。

その結果、無事に解決するかもしれないし、実は目の前の事件はより大きな陰謀の、ほんの先ぶれに過ぎなかったかもしれない。シンプルにクエスト失敗も確率論としてはありうる。それもまた一つの物語だ。

と、このような形でIronswornのセッションは進む。

Iron Vowについては世界観的な重みや失敗時のペナルティとは裏腹に、割と気軽に誓いを結ぶことをルールブックは推奨している。

寄り道クエストみたいに本筋と全然違う誓いをノリでやったら、じつはそれがアイアンランド全土を揺るがす大事件へとオラクルが導くかもしれない。

今進めているクエストの一部をブレイクダウンする形で、より小さなクエスト(例えば「リヴァイアサンを倒す」というクエストの小目標として「伝説の槍を手に入れる」というクエスト)が途中発生するなどしてもいい。

「初期保有の誓い」 (Background Vow)で探していた妹が、オラクルのご機嫌で実は盗賊団の首領に身をやつしていたことになって、困ったことに「盗賊団を全滅させる」という誓いを結んでしまっていたら……

本当に筋書きなく話がボコボコ駆動し、プレイヤーの意図を超えて動き出してしまうので、ソロプレイ特有の「お話の先は読めてるから、どうにも驚きが無いなぁ」という悩みとも無縁だ。

まとめ

私が言うべきことは、これに尽きる。

みんなもIronsworn、やろう。

リンク集を再掲しておくので、興味の湧いた方は是非。一緒にIronsworn沼に浸かろうぜ。

ルールはこちらの”Ironsworn Digital Edition Rulebook“からダウンロードできる。

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本記事は、TRPG『IronSworn』のルールを解説・引用し、必要に応じて翻訳や再構成を行っています。

IronSworn © Shawn Tomkin
本作品は Creative Commons Attribution 4.0 International
CC BY 4.0)ライセンスの下で公開されています。

原著公式サイト:https://www.ironswornrpg.com/

This work is based on Ironsworn (found at www.ironswornrpg.com), created by Shawn Tomkin, and licensed for our use under the Creative Commons Attribution 4.0 International License (https://creativecommons.org/licenses/by/4.0/).