結構前からサジェストで出てきて気になっていたStardew Valley。
せっかくのゴールデンウイークなので遊んでみた。
購入を考えている人の参考になれば幸い。
ゲームの概要
牧場を経営し、農業や釣りや牧畜を繰り返してお金を貯めていく、生活シミュレーション。
インテリアを弄ったり、街の人と交流(好感度が上がると結婚もできるようだ)して、スローライフを楽しむ。
マルチプレイは4人まで対応しており、ゲーム性的には「マルチプレイ対応の牧場物語」といった感じ。
良い点
温かみのあるグラフィックとBGMで、のんびりとした生活の雰囲気は楽しめる。
農場経営の流れ自体も、非常に素直に楽しめる。
楽しめるんだが、次の悪い点が色々台無しにしている。
悪い点
操作性と視認性が悪く、ゲームとしてみるとUIやレスポンス面が非常によろしくない。
全体的に非常にもっさりとしたプレイ感となっており、「ルーンファクトリー」シリーズのような、軽快な農地経営アクションを期待すると、かなり肩透かしを食らう。
キャラメイクは古き良き2Dドット(頭身やや高め)

キャラメイクは、80~110くらいの髪形や服のバリエーションの中から任意のものを選んで、スライダーで色を指定するタイプ。結構いろんな種類の髪形や服がある。
まあ、必要十分と言ったところ。
イントロは情感あり

おじいちゃんから、「辛くなったらこの手紙を読むんだよ」とメッセージを渡されるところから、物語は始まる。
牧歌的で温かく、優しい時間である。
主人公がこの手紙を受け取ったXX年後……


主人公たちは、鶏小屋のような空間で、黙々とPCを前に作業をしている。
「いつでもスマイル」というスローガンと「解雇」が同じ画面に映るあたり、非常に寒々しい。
筆者のような社畜には見るのも辛い演出である。
行き場を失った主人公はおじいちゃんの封筒を開ける。そこには、「人間に本当に必要な、人同士、自然とのつながり」が得られる牧場の権利書が同封してあって、主人公はその牧場を目指す……
というのが、大まかな筋書きである。
住民と交流を深めながら、農地を開拓し、牧場を経営する

こちら、町長のルイスさんと、主人公が暮らすことになった小屋。
この土地で、主人公の新たな生活が始まる。

荒れ果てた牧場を、ちまちまと草を刈り、石を叩き壊し、枯れ枝を伐採して開拓。
いい感じの畝を作って作物を植えていく。ちゃんと水を毎日やっていれば、何日か後には収穫できるようになる。
それを売って得たお金を使って、もっと良い道具や施設、利回りのいい作物の種を入手して、さらなる農地経営を進めていく……というのが、基本的なゲームプロセスとなる。
このゲーム、牧場経営系のゲームとしては珍しくスキルの概念があり、一度に複数個の素材を収穫できるようになるなど、キャラを育成する楽しみもある。
農場にも小屋にもハウジング要素があり、インテリアを置いたり、自分好みに柵や作業用通路などを配置できる。

こちらは町中の様子。SFC時代のゲームを彷彿とさせる、レトロな質感で統一されている。

農業だけでなく、釣りも可能。ミニゲーム形式となっているのだが、後述するように何一つ説明がなく始まって、あわあわしているうちに時間切れで終わる。
*重要*操作性と視認性に難あり
移動が遅い
最大のストレスポイントにして、これだけはなんとかならんかったんかという部分。
とにかくほんとうに移動がゆっくりゆっくりしており、オプションで「常にダッシュ」を選んでも遅い。
このゲームの「ダッシュ」は、他のゲームでいう「歩き」とほぼ同等のスピードだと考えて差し支えない。
そのせいで、街を移動して住民に話しかけに行ったり作物の種を買い足しに行ったりするのが、もはや苦痛なレベルである。
どうやらこの移動速度の問題は全機種共通らしく、なんならPC版では「移動速度上昇MOD」が人気MODのひとつとなっているくらいらしい。
PCならばまだMODでどうにかできるが、Switchでこの移動速度に耐え続けるのは結構しんどいものがある。
道具のアイコンのデザインが似すぎていて判別しづらい

画面下部のやたら細長い長方形のエリアが道具欄なのだが、この中でどれが鍬か一瞬でわかるだろうか?
左端のものが鍬なのだが、Switchの画面だとアイコンが縮小されすぎていてイマイチどれがどれなのか判別がつかない。色味も全体的に灰色で統一されているので、ますます違いを判別しづらい。筆者は、スクショをPCに投影して初めて判別がついた。
PC画面に投影すれば分かるが、Switch画面のままでは分かりづらいというのは、単純にUIのSwitchへの最適化がうまく機能していないことを示す。何度無駄に畑を斧で叩いたか知れない。
軸合わせがシビアな割に、1アクションが長い
このゲーム、位置取りと軸が合っていないと、一向にオブジェクトに干渉できない。
角度がほんのちょっとずれているだけで、畑に水やりすらできず、不発に終わる。そしてそのアクションの演出が長い。
町の人に話しかけるのでさえ、若干でも斜めになってしまうと反応しない。
そもそも、アクションでもないのに軸合わせが必要な理由が、まず感じられない。「テンポのいい農業体験」を重視して、軸の受付をゆるめに調整するなり、移動の歩幅を減らして「数ミリずれる状況」自体を無くすなりできなかったのだろうか。
キャラメイクの時点で操作しづらい・わかりづらい
例えば、「衣服を選んだ時に一覧でバリエーションが出てくるのではなく、ボタンを押すたびにプレビューが切り替わる」という仕組みになっている。20パターンくらいならそれでもいい気はするが、さすがに100パターン近くあるのをひたすらボタンカチカチやって選ぶのは、結構大変。負荷の重い3Dゲームでもないので、髪形とかは一覧で見せて欲しかった。
色味スライダーも細かい部分にUIが詰め込まれており、「ちょっとスティックを誤操作したら、大幅に色味が変わる」ということが相対的に起こりやすい。
全体的に公式Wikiを読まないと、何も情報が無い

この画面右下には、「E」というバーがある。見た感じでなんとなく「スタミナかHPか、そんな感じのバーじゃないか?」という想像は確かにつく。
つくのだが、
- これがそもそも何を示すバーで、何をしたら減るのか。
- これが減ると何が起こり、どんなペナルティがあるのか。
この二点の説明が、ゲーム中に一切ない。なんならチュートリアルもない。
ならどこに説明があるかというと、「公式Wiki」の中である。
農業などをするとこれが減り、無くなると倒れてしまい、お金を10%失う。らしい。
いや、そういう情報は普通に書いといてくださいよ……そんなにスペースを取る説明でもないし……と思う。
*総評*Switch版は正直おすすめしない。PC版にMODを入れたら化けそう。
筆者としてはこの手の生活シミュレーション系は大好物で、牧場経営&2Dドットの世界観ということで大いに期待していたのだが……蓋を開けてみれば、UIと操作性・視認性がとにかく劣悪で、動かしていて楽しさよりもしんどさが勝ってしまう。作業を楽しむことがキモとなる作業ゲーで作業が苦痛なのは、シンプルに厳しい。
ただ、根幹となる牧場経営部分は普通にちゃんとしており、スキルを習得することでの育成要素・アイテム収集などのやりこみ要素もあり、とにかく惜しい。
PC版はこれらの問題がMODで解決しているようなので、ちゃんと遊びたいならばPC版一択のように思う。
Switchでやるのだけはおすすめしない。