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「やりたいシステムはあるのに卓の募集がない……かなしい」

「このシナリオをやりたいけど、皆の予定が合わない……いっそ一人でやる?」

そんな全国のTRPGをソロでも楽しみたい勢のため、既存システムをソロ化・GMレス化するツールのMythic Game Master Emulatorを紹介してみる。

三行まとめ
  • 既存TRPGシステムをソロ化・GMレス化する際の代表的ツール
  • 20年の歴史があり、Redditのコミュニティに運用ノウハウが蓄積されている
  • 「内容を知っている既存シナリオを初見のように楽しめるように最低限の改変をする方法」のようなTipsも豊富

Mythic Game Master Emulatorの概要

Tana Pigeon氏によって制作された、既存TRPGと併用する形でソロ化・GMレス化を実現する汎用ツール。

Mythic Game Master Emulator Second Edition

ゲーム内の状況をFate Questionという質問をすることでランダム決定したり、Meaning Tableと呼ばれるランダムテーブルを用いて即興で展開生成したりすることで、ソロでのTRPGプレイを可能にする。

「事前準備ゼロでキャンペーンシナリオをアドリブで進める」遊び方に非常に適しており、やりたいシステムのキャラメイクだけ済ませてしまえば、あとは本ツールのルールに従っているだけでソロでいくらでも遊ぶことができる

日本での導入例はほとんど見ないが、海外ソロTRPGコミュニティだと鉄板の定番ツールの位置にある。

そのため、メジャーどころではDungeons & Dragons 5ePathfinder RPGクトゥルフ神話TRPGあたりがよくソロ運用報告がある印象。マイナーどころだとSavage Worldsあたりは「相性が最高」だという非常に熱心なプレイヤーが多いことで有名。

初版発売から20年近くが経っていることもあり、Redditでは今日もベテランソロTRPGプレイヤーたちが本ツールの運用方法や独自ハックを巡って日夜議論を交わしている。

PDFの形で販売されているので、翻訳アプリにブチ込めば英語が読めなくても使える

Fate Question

Fate Questionとは?

本ツールの核心。

「扉にはカギがかかっているか?」

「窓から見下ろすとゾンビがいるか?」

「宝箱は既に別パーティーに荒らされたか?」

といった質問を「半々かな」「まぁ、ありそうかな」「ほぼ確実になさそうだよな」といった感じの主観的な印象に基づいて補正し、ダイスロールすることで状況を確定する。

たとえば、

Fate Question「扉にはカギがかかっているか?」

補正「ありそう(Likely)」によりダイス結果+1

ダイスロールすると2d10→12

補正を入れて13なので、「Yes。扉にはカギがかかっている」

といった感じの運用をする。

Fate Questionの答えは単純なYes/NoだけでなくExceptional YesやExceptional No といった「極端なイエス/ノー」を提示することもある。

Fate Questionの解釈

たとえば、「剣士は斬りかかって来るか?」という場面では

  • Exceptional No 剣士は躓いて転倒し、崖下へと転落していく
  • No 剣士は攻撃を躊躇っている
  • Yes 剣士は攻撃してくる
  • Exceptional Yes 剣士の後ろには仲間たちが隠れており、一斉にとびかかって来る

といったふうに、状況・文脈と照らして質問結果を解釈する。

全部を質問しなくていい

こうした質問を不確定な場面で行うことにより、半自動的に状況を生成していくことができる。

「逆に、毎回予想外の展開にしかならないの?常識的に繋がる展開も欲しいんだけど」

という方も心配ご無用だ。

基本的にMythicの場面はExpected (予想通りに進む場面)として扱うことが推奨されており、Fate Questionは

「どうなるのかが分からない時」

に絞って使う運用になる。

シーン生成によるシナリオの展開

Mythicには、Altered Scene(ひねりの加わるシーン)やInterrupted Scene(割り込みで突発イベントが起こるシーン)の発生手順やそのシーンをランダム生成する方法も用意されている。

そのため

「扉を開けようとしたら、街に残してきたNPCから助けを呼ぶ電話がかかって来る」

「ゾンビが急に倒れたかと思うと、防護服を着た特殊部隊が検体として回収しに来る」

といった予想外の事態を簡単に起こすことができる。

ここで重要になるのがEvent FocusとMeaning Tableというランダムテーブルだ。

Event Focus (これもランダムで決まる)により「NPCにとって良くないことが起こる」といった状況全体の方向性を決め、ダイスロール結果を基にこのテーブルから単語(例えば”命”,”病気”など)を選ぶ。

これにより、「突然、NPCの持病が悪化した」というふうに状況を解釈したりして、物語を前へ前へと進めていくことができる。

Threads/ Charactersリストにより半自動キャンペーン展開も自動生成

シナリオにテーマ性を持たせるための方法として採用されているのがThreads/Charactersリストだ。

これらはそれぞれ、

  • Threadsリスト ……PC達の目的の一覧
  • Charactersリスト ……NPC、組織、場所、モノなど、重要な事柄の一覧

の形で、シナリオに登場した情報を管理する。

これらのリストは前述のAltered SceneやInterrupted Sceneの際にイベントの対象として選ばれることがあり、

「以前登場したキャラクターが、実は黒幕だった」

「前回のセッションで攻略したダンジョンと今回のNPCの間に意外な関係があった」

という形で、過去の文脈の積み重ねが現在に影響を与えシナリオのテーマ性が自動的に担保されつつ、新たな流れへの更新を呼び込むつくりになっている。

こうしたThreads/Characterのリストにどの情報を登録し、どの情報を登録しないのかはプレイヤーの任意に任されているうえ、同じ情報を複数登録してランダム選択での出現率を上げることも可能だ。

そのため、自分が再登場させたいキャラやシナリオ目的はたくさんイベントが起こるようにしたうえで、なおかつそれらのイベントに意外性を持たせることが自然にできる。

Chaos Factorで展開にリズムを作る

Mythicの特徴的な仕組みの一つがChaos Factorだ。

状況の混沌度合いを表す数値となっている。

この値はプレイヤーが判定に失敗したり、敵前逃亡したりすればするほど上昇し、逆に状況を掌握し、安全に進むことができていればいるほど低下する。

Chaos Factorの値に応じて、前述したExceptional Yes/ Exceptional Noの発生確率やInterrupted Sceneなどにより予定外のことが起こる確率が変動するため、ゲームの進行を決める確率そのものがインタラクティブに変動し、状況が無数に枝分かれしていく

巨大なRedditコミュニティにより相談もしやすい

初版が出版されて20年近く経っていることもあり、デファクトスタンダードの地位を確立している。

そのため、Redditでは日々使い方に迷っている初心者が上級者に質問したり、ノウハウを共有したり雑談したりする姿が見られる。

What are everyone’s favourite RPGs to use with Mythic? : r/mythic_gme

例えば、上記の「Mythicと一緒に使うお気に入りのTRPGは?」というスレッドでは2026/7/16時点で37のコメントがついており、コミュニティのメンバーがDungeons & DragonsだったりPathfinder 2eだったりGURPSだったりを、お気に入りの併用システムとして挙げている。

既存シナリオにも適用可能

Mythicには事前準備無しのアドリブプレイだけでなく、既存のシナリオを「ほんのちょっとだけ改変する」ルールやTipsも収録されている。

これにより、「自分自身がプレイヤー兼GMだから、話の展開が全部分かってしまう」問題がダイレクトに解消され、初見の驚きを持ちながら、お気に入りのシナリオをプレイできる

この「既存シナリオを初見であるかのような新鮮さを持ちながらプレイする」仕組みは非常に応用の利くルールであり、『大好きなアニメの第〇話をこのキャンペーンで捻りを加えて再現する』といった使い方までできてしまう。

購入時の注意

Mythic Game Master EmulatorはDriveThruRPG – 最大級のTRPGオンラインマーケットでオンライン購入できる。

Mythic Game Master Emulator Second Edition

一番上がPDF版で、他は物理書籍だったり物理書籍とPDFが両方ついたバンドルだったりするので注意すること。

英語への耐性にもよるが、PDF版のほうが何かと楽。

適当な翻訳アプリにぶち込めば、すぐにいい感じに訳してくれる。

いい時代になったものだ。

終わりに

ということで、Mythic Game Master Emulatorを紹介してみた。

本稿で日本のソロTRPGプレイヤー人口が増えたり、ひとつの趣味として堂々と公言する足掛かりになれたりすると、とても嬉しい。

筆者はソロTRPG向けのシステムを紹介する記事も書いてるので、興味のある方は是非。

ということで、良きゲーマーライフを!

最後まで読んでくださってありがとうございました!!

Mythic Game Master Emulator Second Edition を DriveThruRPGで見てみる