This post is also available in:
精魂込められたゲームに触れた時、ふと
『いったい何が、作者さんをここまで駆り立てるのか?』
と思ったことはないだろうか。
インタビュー企画『原風景、お邪魔します』では、そうしたゲーム制作者さんの根っこの部分に、ほんのりお邪魔させてもらう。
- 創作の核を見つめ直したいゲーム制作者
- 展示会に出展しようか迷っている人
- いちプレイヤーとして、開発の裏側を知りたい人
にブッ刺さる内容だ。
今回は、リリース前の作品に「このゲームを語ってもいいんじゃね?」な空気を作りに行く企画『リリース前語り』のインタビューパートも兼ねて、作っちゃうおじさんにお話を伺った。
感謝ッッ!!!!
『リリース前語り』の作品紹介パートとして、作っちゃうおじさんの新作『ダンジョンボンバー』の紹介記事も書いている(リンク)。こちらも是非チェックしてみて欲しい。
作っちゃうおじさんのご紹介
今回のお相手:作っちゃうおじさん

代表作:うさぎパズル・アカズノハコ・アゲアゲ君シリーズ、マルバツゲーム進化論など
作っちゃうおじさんゲーム置き場【スマホ・PCで遊べるブラウザゲームサイト】
ほっとフクロウ(作っちゃうおじさん) (@hothukurou) / X
――それでは、自己紹介をお願いします!

個人サイトにブラウザゲームを公開したり、Steamでゲームを販売したりしている『作っちゃうおじさん』と申します。
過去作で話題になったものだと、ブラウザゲームの『怖くないホラーゲームうさぎパズル』『マルバツゲーム進化論』『因習村脱衣トランプゲーム』あたりかと思います。
2010年の大学二年生の頃からFLASHゲームを制作開始しました。その後ゲームとは無縁の会社に就職し、その後ベンチャーで働きながら月一でゲームを制作公開する活動を続けてきました。
現在はフリーランスで生活資金を稼ぎながらSteamでしっかり販売できるゲームを制作する毎日を過ごしております。
――ありがとうございます!
では、本格的にインタビューに入る前に、軽くジャブを打たせて頂きます!
ゲーム制作のお供に、よく飲まれる飲み物はなんですか?

これです。オーケーは庶民の味方!
――オーケー、昔住んでたところの近くにあって、私もよくお世話になってました!
ダンジョンボンバー制作秘話に迫る
きっかけは展示会での反応
――新作『ダンジョンボンバー』は一言でいうとどんなゲームですか?

爆発連鎖が楽しい能力成長型のパズルゲームです。
専門用語を使うと爆弾デッキ構築ローグライクパズルです。
――今作で前作の『ダンジョンデストロイヤー』(Steam)よりもわかりやすいゲームシステムを採用した理由として、「前作は面白くなるまでのルール理解が大変だったから」ということを挙げていらっしゃいます。
作っちゃうおじさんとしては、「多少とっつきにくくてでも、このスタイルで押し通すべきか!?」という迷いはありましたか?

『ダンジョンデストロイヤー』制作時は迷いなく「ルールが難解でも、新しく面白いシステムを作ろう!」と思っていました。
ただ、展示会で実際にゲームを試遊してもらう中で「ルールが複雑だとお客さんに理解してもらうために時間を使う」ことに気が付き、「次回作はわかりやすいシステムにしよう」と決意しました。

ということで「ローグライク」と「道づくりパズル」という難しい要素の組み合わせだった『ダンジョンデストロイヤー』から、「爆発」「連鎖」という気持ちがよくわかりやすい要素を軸とした『ダンジョンボンバー』を制作することにしました。
本来はここに「リソース管理」も入るのですが、遊んでいれば自然に理解できるようにしています。
敷居を下げて、手に取ってもらう戦略
――実は紹介記事を書いた際に、「手札要素もあるし合成による擬似的なデッキ圧縮もあるから、デッキ構築要素をプッシュして書いてもいいかな…?」と思いながらも、迷った末見送った経緯があります。
今作の『ダンジョンボンバー』のPRでは、なぜデッキ構築要素は前面に押し出されていないのでしょうか?

分かりやすくして敷居を下げるためです!デッキ構築という言葉は展示会などでは意外と伝わらなかったのです。ただ、Steamで販売する時には伝わりそうなので、紹介文にさりげなく入れて検索してきた人を受け入れる試みをしたりと使い分けています。
――「デッキ構築」という単語が展示会で伝わらなかったことが意外でした。「展示会にいらっしゃる方って、知識が遥か高みにあるゲーマーだったりするのかな?」という偏見があったので……!
歌付きの自作PVの裏話
PV制作の経緯
――『ダンジョンボンバー』には自作のPVがあり、作っちゃうおじさんが鼻歌で作曲されたものに奥さまが声入れをなさったとか…!
いったい、どんな経緯でPVを作ることになさったのでしょうか?
『ダンジョンボンバー』PV (Youtubeリンク) はこちら。

ピタゴラスイッチやドンタコスのCMなどでおなじみな『佐藤雅彦展』に行った影響が大きいです。この展示展では「CMソングを作ると耳に残るからいいよ!」という作り方を提唱しており、自分もそれに感化されてPVソングを作ることにしました。
PVを制作して分かったこと

PV制作の結果わかったことは2つです。
(1)テレビのような受動的なコンテンツで流れる媒体においてはCMソングは効果的だが、能動的に検索するSteamページのような媒体だと効果は薄い。下手したら身内ノリみたいになってしまう恐れもある。
(2)ゲームの内容を理解してもらうためにPVを作るべき。なのでゲーム画面を見せてどんな遊びができるのか理解できるPVを作成するのがよさそうである。
PVの歌入れの条件
――あの歌に『声入れして』と頼まれた時の、奥さまの反応はいかがでしたか?

ステーキ+サラダバーで有名なブロンコビリー奢ってくれたらええよ、とのことでした。
――想定外にパワフルなお返事ですね 笑
ゲーム制作仲間と主催された展示会
お客さんとの距離が近い展示会
――作っちゃうおじさんは、ゲーム制作仲間の方たちと一緒に、『作っちゃう奴ら展』というゲームの展示を主催されています。
この『作っちゃう奴ら展』では、お客さんとどのようなお話をされましたか?

お客さんとは、とてつもなく密にゲームの感想や、お客さんの相談を聞いていました。距離感がとても近い会だったと思います。ここまで距離感が近いと、身内受けと受け取りかねない自作PVも大いに好評でした。
「自分も今度展示会出るんだけど、何から始めたらよいか」みたいに、ゲーム制作者さんが多かったですね。
「A1ポスターは布ポスターにすると持ち運び楽だよ」とか「プレイ回数記録できると効果測定できていいよ」とかそういったアドバイスをした方が後日別の開発者イベントでお会いした時にお礼と「ゲームダンジョン12でます!」との声をいただいたので、参考になったようでよかったなと思いました。
――ちなみに、お客さんはどんな感じの層の方々だったのでしょうか?

お客さん層は『出展者さんとSNSでつながっていたり、過去作を遊んでいる方』が多かったです。ゲームメーカーさんのイベントカレンダーに追加されていたり、4gamerさんの紹介記事から来た方もいらっしゃいましたね。逆にふらっと来た渋谷の民は来なかったように思います。
ゲーム好きで遊びにきた層が多かったです。二回目をやるときは、ふらっと来たお客さんが遊んでくれるようにしたいですね。
――展示会でお客さんとの距離が近いの、ステキ度が高いと思いました。
いちプレイヤーとしては、制作者さんって雲の上の存在なので……
忘れられないゲーム三つ
――忘れられないゲームを三つ、忘れられない理由といっしょに教えてください!!

FF10、風来のシレン、ドミニオン(ボードゲーム)です。
FF10

FF10はRPGとして面白さを持ちながら、その濃厚なストーリーに感動しました。小学6年生で遊び、その濃厚なストーリーと世界観に感動した記憶があります。
主人公ティーダを導いてくれた年長のアーロン、今調べたら35歳とのことなので、いつのまにか自分と同じ歳になってしまいましたね。
アーロンになって正宗ぶん回したいです。
風来のシレン

風来のシレンはローグライクの楽しさを味合わせてくれたゲームです。私は風来のシレンGB2砂漠の魔城からはじめましたが、「敵をレベルアップさせると深層にいる強敵が出現するけど、倒すと大量の経験値を得られる」というぶっ飛んだバランスがとても好きでした。
その後、DS版シレンにてローグライク好きならば一度は耳にしたであろう「フェイの最終問題」に多くの時間を溶かしました。
せっかく道中で最強の武具を鍛え上げても、出合頭のセルアーマーに武器をはじかれて水中に沈んでロストしたり、ねむり大根3匹に眠り草と毒草を投げ続けられて二度と目覚めなかったり、タイガーウッホにモンスターハウス投げ込まれてリンチされたりと、負けた時の記憶は今でも残っています。
ドミニオン

最後にデッキ構築の元祖「ドミニオン」です。
2010年に大学の部室で遊んだことがきっかけでハマりました。ボードゲームの楽しさを知ったのもこの頃からですね。今では「アグリコラ」や「テラミスティカ」など1プレイ2時間以上かかる重量級のゲームも楽しむ立派なボードゲーム大好きマンになりました。
デッキを自分で作り上げていくことが楽しすぎて、その後2012年にRPGとデッキ構築を組み合わせた「カードの不思議なダンジョン」というゲームを公開しました。デッキ構築とRPGを組み合わせた作品としてはこれが最初なのではと思います。
――忘れられないゲームの『シレン』『ドミニオン』は「確かに言われると、『ダンジョンデストロイヤー』と『ダンジョンボンバー』に繋がってる!!」と妙に納得してしまいました。逆に、「作っちゃうおじさんは、まずゲーム性ありきで作られているのかな?」という勝手なイメージがあったので、ストーリー重視のFF10はかなり意外でした。
自己管理のコツは日報
――日報をつけて制作の状況を管理してらっしゃるとのことですが、差し支えなければどんな内容の日報を書かれているか教えて頂けますか?

本日の進捗や参加したイベントなどを書いています。日報を書くだけで自己肯定感がモリモリ上がるのでおススメです。一人親方でゲーム作っていると特に大事だなと思います。
――日報で自己肯定感モリモリ!!こっそり真似してみます。
かつては怨念でゲームを作っていた
――怨念をゲームづくりに叩きつけるスタンスを電ファミニコゲーマーさんのインタビューでお話されていたのですが、もしやサイトのブラウザゲームにホラーゲームや鬱屈したサイコホラーが多いのは、怨念のパワーの賜物でしょうか?

少なくとも新卒で大企業に勤めていた2018年ごろまでは怨念でゲームを作っていました!
その後、ベンチャーに転職し怨念はなくなりましたが、それでもゲームは制作し続けています。
自作サイトのアクセス数が安定して伸びたことで、それをモチベーションにどんな状況でもゲームを作る原動力を確保できたのは良いことです。
怨念の無くなった今、モチベーションとなるものは?
フィードバックが原動力
――怨念の無くなった今、何がモチベーションとなっていますか?

モチベーション上がるのはもちろん「面白かった!リリースしたら絶対買います!」なのですが、 改善できそうなフィードバックをいただいた時は制作のモチベが上がりますね。
プレイヤーが本当に必要だったもの

ただ、このモチベが上がる瞬間は遅延型で、帰ってからフィードバックを逡巡している時、ふと「ああ、この方法ならば、よりわかりやすい!」とか「面白くなりそう!」とわかることが多いので、数こなして多くのご意見をいただいた後で、それを解決する明確なアイデアを一つひらめいた時が一番モチベが上がります。

いわゆるソフト業界でよく見る「顧客が本当に必要だったもの」みたいな話です。
お客さんの不満はヒントになりますが、局所的な最適解になってしまうので、そのまま受け取らずにまとめて全体最適化するような修正を加えて明確に改善できた時が一番モチベがあがります。
フィードバックから解決策を見つける瞬間

最近だと「ドラッグ操作が難しい」とのご意見がありました。 原因を探っていくとその一つに「お客さんが近視でノートPCに顔を近づけており、その状態でマウスをノートPC前面の狭い領域で動かしていると、操作しづらくなる」ことがわかりました。 これは展示スペースのマウス配置をノートPC横に置くだけで改善できました。

また、テキストを大きくすることで、プレイする人の姿勢を改善し、マウスドラッグ操作をしやすい姿勢に誘導したりしています。
「マウス操作面に引いた布がずれて操作が困難だった」なんてこともあります。これはテーブルクロスを敷かないようにすることで改善しました。

これらの例なんかは、状況をつぶさに観察しないと解決しない話ですね。
「チュートリアルの説明が伝わらなかった」などの点も実際に試遊してもらうことでわかるので、こまめにメモして改善し続けています。
これもうまく伝わるようになるとモチベが上がりますね。
――ご回答ありがとうございます!
『顧客が本当に必要だったもの』って、本当は木にブランコをつけたかっただけのはずが、やりとりがズレていってしまうやつですね。
個々のフィードバックをそのまま額面通りに受け取らずに、全部を総合して解決できるようなアイデアが閃いた瞬間、という感じでしょうか?

そうです! いろんなフィードバックから、一つの明確な改善点が見つかった瞬間が一番嬉しいですね。
読者へのメッセージ
――では、最後に読者の方へメッセージをお願いします!!

フリーランスで活動する個人ゲーム制作者に興味ある方はぜひ作っちゃうおじさんのXをフォローしましょう!
私がよく根城にしている、めちゃくちゃ安いコワーキングスペースの紹介や 、ゲーム制作者が集中して作業できる「もくもく会」と呼ばれる会の告知、ゲーム出展イベントなど有益な情報を配信してます!
また、月1ペースでブラウザゲームを制作しつつ、新作Steamゲームのダンジョンボンバーの開発進捗も確認できます!
――質問は以上です!今回はお忙しい中お時間を取ってくださって、ありがとうございました!!
終わりに
いかがだったろうか。
作っちゃうおじさんの原風景を、
――彼が何を求めてゲームを作っているのか
ちょっぴり垣間見えただろうか?
あるいは、
あなた自身は、ゲームに何を求めているのか?
……たまには、あなたの原風景に身を寄せるのも、悪くないかもしれないぞ。
というわけで改めて!!
私のようなどこの馬の骨とも知らぬ者からのインタビューのお誘いを、快く引き受けてくださった作っちゃうおじさんに感謝!!
作っちゃうおじさんの新作、『ダンジョンボンバー』についての紹介記事も書いている(リンク)ので、こちらも併せて読んでみて欲しい。
なお、『原風景、お邪魔します』では、今後もインディーゲーム制作者の方にお話を伺っていく。
(もしインディーゲーム製作者の方で「ちょっと興味あるかもなぁ」という方がいらっしゃったら、お問い合わせフォームからご連絡いただけると嬉しいです。)
というわけで、よきゲーマーライフを!
最後まで読んでくださり、ありがとうございました!!
※ゲーム開発者様へ※
試験企画『リリース前語り』では、デモ版・アーリーアクセス版の実際のプレイ体験をもとに、作品が「なぜ」面白いのかまで踏み込むことを重視して、リリース前の作品の紹介記事とインタビュー記事『原風景、お邪魔します』の作成を行っております。
それにより、「この作品について、語ってもいい」という先例を作り、ファンコミュニティの種を蒔くことを目的としています。
ご興味がおありの方は、下記フォームよりお気軽にご連絡ください。
