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ゲームを作ってる方の頭の中って、気にならないか?俺は気になる。
というわけで、インタビュー企画『原風景、お邪魔します』では、そうしたゲーム制作者さんの内なる創作意欲やら思考過程やらに、ガガっとお邪魔する。
- 「作者さんの人柄が垣間見えるのもインディーゲームの魅力よね」という方
- 何を意識してモノづくりをしようか迷っている方
に、いい感じに面白い記事になってるとうれしい。
今回は、リリース前の作品に焦点を当てる企画『リリース前語り』のインタビューパートとして、Med.y.mさんにお話を伺った。
感謝ッッ!!!!
作品紹介パートとして、同氏制作の『Verdant Requiem』の紹介記事も書かせて頂いた。
こちらも是非チェックしてみて欲しい。
なお、今回のインタビューでも葛飾六斎さんのSRPGStudio開発者による座談会記事を大いに参考にさせて頂いた。
改めて感謝をさせて頂きたい。
ってわけで、いこうか。
Med.y.mさんのご紹介

今回のお相手:Med.y.mさん
制作中の作品『Verdant Requiem』 Steam:Verdant Requiem
――では、自己紹介をお願いします!

Med.y.mと申します。普段は日本のどこかで救急医をしています。
趣味でゲームを作っています。最近はSRPGを作っています。
――ちょっとしたジャブの質問です!作業の合間に読む漫画ってありますか?

ここ最近は漫画を読むことが減りましたが、ドラゴンボール、ドクタースランプ、ダイの大冒険、スラムダンク、ジョジョの奇妙な冒険あたりを読んでいました。
――現在制作中のVerdant Requiem は一言で言うとどんなゲームですか?

コンセプトは”均衡を模索するSRPG”、綺麗な2D調マップのFEライクSRPGを目指したつもりです。
グラフィックへのこだわり
――空き時間にドット絵を打ったり動かしたりなさっているとのことですが、もしかしてVerdant Requiem作中のユニットのドット絵やマップチップも自作なのでしょうか?

ユニットのドット絵はほとんどが素材の改変のみです。
マップチップも多くが改変や調整を加えたものですが、一部完全自作やAI生成→自力でドット感を出すために修正したものなどもあります。
*追記*
なんと、このインタビュー直後にマップチップに改変を加え草地などの地形マップをAIで生成し、自力で調整されたとのこと。
仕事が速い!!
動かしやすさと美しさ
――映像表現もさることながら、それを実現するための軽量化であったり、独自UIの作成であったりといったことに力を入れられている印象があります。
「見て美しい」だけでなく、「使いやすい・動かしやすい」ゲームにするために工夫されていることはありますか?

映像表現については、作中の根幹に関わる演出であると同時に元々使っていたスワイプ機能の重さの軽量化が私の技術ではどうにもならず、オリジナル要素も出したいという思いから生まれたものです。
導入してみたら動作が軽くて助かりました。
凝っていても「動かしづらい」とプレイヤーの方々は離れてしまうというのもあると思い、
・SRPGstudioの挙動+視線誘導は劇的に変えないが、UI画像自体はオリジナルなもの
・挙動から全て完全オリジナルなもの(軍需管理、派遣任務など)
のバランスは、後者に寄り過ぎないように気を付けているつもりではいます。
敵の行動予測線や自軍進軍路予測矢印、マップの各種撮像効果は演出と動作が重くなることのトレードオフだったのですが、実用的に動く範囲になるまで軽量化を模索していて、現在も処理軽量化を続けています。
演出で大事にしているものと、切り捨てているもの
――Cienを拝見したところ、
レーダーチャート表示格好いいなぁ…とか成長率数字表示プラグインとか作ってみて導入→しっくりこなくて辞めてアルファベット式成長傾向表示にしたくらいですので。
と仰っています。
Med.y.mさんの他の記事を拝見しても、『演出にはこだわるが、見た目の派手さよりも、もっと何か優先しているものがある?』という印象を受けました。
Med.y.mさんにとって、『ゲームの演出』において優先されているものと、逆に切り捨てられているものがあれば教えてください。

昔はあまり深く考えず、「凝った作品にしたい」+「メッセージ性を込めたい」くらいにしか考えていませんでしたが、有料化を視野を入れた時にふとUIや世界観をその作品の根幹を踏まえて統一感のあるものにしたい、と思い立ちました。
なので、
・中世戦記ファンタジー感を出すところは黒・金or黄
・メタ視点のものは映像化プラグイン
という差別化を(ある程度)意識してUIを構築したつもりです。
特に後者は、”ある構造”を意識して、かつ強調したものです。
作品を真相編までクリア頂くと、作品のタイトルに込められた意味、根幹の意味がある程度分かって頂けるのでは…と思っています。

本作で切り捨てたものの一つはリアルモーションの動きです。
もっと凝れたのですが、FEのGBA版を思い返してシンプルにまとめました。(逆に次回作では凝りたいと思ってます。)
また、データを全て開示するというのも切り捨てたものです。特に成長傾向がそれにあたると思います。他にも、料理によってどの成長率が上がるのかが予め分からない、などでしょうか。
メタ視点だったらその辺も見えるだろう、と言われたらそれまでなのですが「不透明なところを検証する」という楽しさも大事なのかなと思っているからです。
昔の思い出話になりますが、FF5で「海底のモアイに話しかけると秘密の洞窟には入れて、隠し武器が手に入る」という噂話が兄の子供の頃に出回ったことがあったそうです。
兄と共に子供の私がテレビの前に寝そべりながら二人で検証したというのは今でも覚えていて、「全てが明かされないからこそ生まれるエピソード」みたいなものもあろう…という観点から”成長率”でなく”成長傾向”としました。
「こいつ、成長率Bって書いてあるけどA寄りなんじゃないか?」とか、「成長率Bの中でもC寄りっぽいんだよなぁ…」とか、そういうシーンが生まれることを狙ってます。

最後に切り捨てたものとして、リアルすぎるマップ描写です。
正直、昨今のアプリはビジュアル面が美麗で、3Dっぽさやリアルさを突き詰めても限界があると考えています。
なので、2Dでどこまで美麗に魅せされるのか、というところを突き詰めたいと考えていて、その一環として疑似撮像効果、灯り、フォグ、天候、疑似水面反射などを盛り込みました。
レゴが大好きだった幼年時代
――レゴが子供のころにとてもお好きで、それで色々作るのがゲームと同じくらい大好きだったとお聞きしています。
その時に作ったもので、自慢したい逸品があったりしますか?

写真は残っていない&遠い記憶ですが、
・FF6:エドガーとフィガロ城、ブラックジャック号
・ダイの大冒険:鎧化したヒュンケル
あたりを作ったのは覚えています。
システム設計における”均衡”
――Cienのシステム設計における「均衡」という思想 – YM Studio – Ci-en(シエン) という記事にて、「これをやれば勝てる」という最適解を作らないようにして、状況に応じた判断ができるように設計していると仰っています。
Med.y.mさんには『SRPGだからこそ、最適解追求ゲーにしたくない』と感じたエピソードがあったりしますか?

正直、そう考えているだけで実際最適解ゲーにならないように出来ているかは怪しいのですが、過去作にて”正直、このスキルしか選ばないです”みたいなレビューを過去に頂いたことがあり、そこがきっかけです。
なので、選択肢を幅広く敢えて持たせた上で、目的達成には「最適解は基本Aだけど、奇策としてBやCでもクリアできて、そっちのほうが状況によっては効率が良い」みたいなところがあればいいなぁ…と考えながら作っていました。
生きた世界観のために
――キャラクター同士の掛け合いや情勢を説明する会話などを拝見していて、情報の出し方が説明的すぎない……というよりも、『実際に人間が会話をする時の生々しさ』のようなものを感じました。 こうしたキャラ同士の交流を描く上で、意識されたことは何ですか?

情報の出し方はとても難しくて、私自身苦手な部分です。少年時代に漢字練習帳で一行書くだけで泣くほど国語が苦手だった私なので、シナリオの粗がなく伏線を適切に張って回収する、ということに苦手意識があります。
ただ、なるべくなら”その場に生きている人間達の会話”から得る情報とすることで、すこしでも説明臭さが消すことが出来れば…と思っています。
限界はありますが、“この世界の人間達なら、この慣用句はどのように表現するのか”なども(国語が苦手なりに)色々と試行錯誤したつもりです。
忘れられないゲーム三つとその思い出
――忘れられないゲーム三つと、忘れられない理由を教えてください!!

ゲーム全体でいくと、
・FF6
クリア直前でデータが消えてショックで泣いたことがあって印象深いです。その後兄達が交代でプレイをしてほぼ同じ状況に戻してくれたらしいのですがそちらは覚えていません(笑)
・真女神転生
ルートや属性によってかつての仲間と戦わなければいけない、属性が変わると味方に出来なくなる悪魔がいる、というのに衝撃を覚えました。
・英雄伝説軌跡シリーズ
群像劇やキャラの魅せ方、世界観の構築の仕方に感銘を受けました。作品づくりの影響を受けているかもしれません。

上記にSRPGがありませんが、SRPGでは
・FEシリーズ
構成的にはifが好きです。女神転生と同じく、分岐していくことでかつての盟友と戦う展開が好きでした。シナリオは聖戦の系譜と紋章の謎が好きです。
・タクティクスオウガ
バルマムッサから始まり、多くのシーンの描写や陰謀の描写が好きでした。
・FFTA
初めて買ったSRPGでした。
…の3つです。
“バランス”の模索
――忘れられないゲームや本作の設計思想において、
- 「コレさえやれば万事解決」ではないシステム・世界観(本作の『均衡を模索するSRPG』というキャッチコピーがまさにそれだと思います)
- 演出面や製作コストのバランス
- 難易度設定
など、「バランスへの言及」が繰り返し出てきています。
なぜ、Med.y.mさんにとって、「バランス」が大事なのかをお聞きしてもよろしいでしょうか?

バランスを崩すのか、それとも保つのか。
それは、自軍ユニットの性能にも直結しますし、本作の根幹につながってきます。
難易度バランスについてはせっかくだから多くの方に遊んで欲しい程度の考えだったのですが、案外作品の根幹にもつながっているかもしれない…と考え始めた今日この頃です。
模索は続く
――UIの試行錯誤やご兄弟と噂の検証をされたお話、さらには本作のテーマなど、Med.y.mさんの創作活動全体を通して『模索』へのこだわりがあるように感じました。
もしかしてなのですが、お子さんのころのレゴも、『何かを作り上げる方法を模索すること』を楽しまれていたのでしょうか?

(興味があることについては)試行錯誤するのは嫌いではないのだと思います。
本業でも”もっとよい方法はないのか”と考える毎日です。
レゴについては、そこまで深く考えていたかは謎ですが、よほどFF6のデータが消えたのが悔しかったのだと思います(笑)
<エンブレマーをどの程度意識するか?>
――Cienにて、
「エムブレマー層をどこまで意識するのか」という点は、制作開始当初からの永遠の課題です。
と、難易度設定をするうえで、かなりファイアーエムブレムシリーズの既存ファンとSRPG初心者の方の乖離を意識されているように見受けられました。
もともと、Verdant Requiemの制作を始めた時は、既存ファン向けと初心者向けの、どちら向けの作品としてスタートしたのでしょうか?

既存ファンと初心者のちょうど中間を狙いたい、と思っていました。
以前、FE覚醒のプレイ動画を見ていて「上級者ってこんなプレイするのか…真似できない…」と思ったことがあり、SRPG界隈だと初心者と上級者にはかなりの隔たりがあるんだろうな…と感じていました。
私自身はまったく上級者でないですが、かといって完全な初心者でもないので中くらいと仮定して、
・私自身がプレイして”ある程度orたまにユニットが事故死”→通常難易度
・かんたんと感じる→イージー
・正直、セーブ&ロードを繰り返さないと厳しい→ハード
くらいにすればある程度の層に対応出来るんじゃないか…と思っていました。
読者の方へのメッセージ
――最後に、読者の方へのメッセージをお願いします!!

現在、製品版公開に向けて最終調整中及び公開場所の検討中です。
製品版では、ルート分岐によって生まれる展開、悲劇、大陸の真相が明らかになります。
製品版公開まで今しばらくお待ちください!
そして、研修医や医学生の方はぜひ救急科へ!!
終わりに
いかがだったろうか。
Med.y.mさんの探求心が本当に凄まじくて、「この勢いに応えねば無礼というもの!」なノリでガシガシ質問をさせて頂いた。
というわけで、インタビューに答えてくださったMed.y.mさん、並びにMed.y.mさんをご紹介くださった葛飾六斎さんに感謝!!
Med.y.mさんのリリース前作品、『Verdant Requiem』についても特集しているので、気になった方は是非。
なお、『原風景、お邪魔します』では、今後もインディー ゲーム制作者の方にお話を伺っていく。
(もしインディーゲーム製作者の方で「ちょっと興味あるかもなぁ」という方がいらっしゃったら、お問い合わせフォームからご連絡いただけると嬉しいです。)
前回の『原風景、お邪魔します』では戦記とファイアーエムブレムへの並々ならぬ愛が迸る黒木道仁さんにお話を伺っている。こちらも読んでみてもらえると嬉しい。
原風景、お邪魔します#3 黒木道仁さんにインタビュー~俺を狂わせた作品たち~ – Kaburanai Games
というわけで、よきゲーマーライフを!
最後まで読んでくださり、ありがとうございました!!
※ゲーム開発者様へ※
『リリース前語り』では、デモ版・アーリーアクセス版の実際のプレイ体験をもとに、作品が「なぜ」面白いのかまで踏み込むことを重視して、リリース前の作品の紹介記事とインタビュー記事『原風景、お邪魔します』の作成を行っております。
それにより、「この作品について、語ってもいい」という先例を作り、ファンコミュニティの種を蒔くことを目的としています。
ご興味がおありの方は、下記フォームよりお気軽にご連絡ください。

