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創作をすると、自分では思い付きもしなかったことを、キャラクターが話始めることがある。
“キャラが勝手に動きだす”というやつだ。
それが楽しくて創作している、という方もいらっしゃるだろう。
インタビュー企画『原風景、お邪魔します』では、インディーゲーム作者様のそうした創作のモチベーションや、ちょっとした日々の試行錯誤を追っていく。
- 「人の創作論は聞けば聞くほど面白い」という方
- 自分のモチベーションを見失った方
にも届く記事になってると妨害だ。
今回は、Kiseki Kobo Gamesさんにお話を伺った。
感謝!!
作品紹介パートとして、同氏制作の『Funeral Flowers Lament Helena』の紹介記事も書かせて頂いたので、是非チェックしてみて欲しい。
なお、今回のインタビューでも再度葛飾六斎さんのSRPGStudio開発者による座談会記事を大いに参考にさせて頂いた。
改めて感謝をさせて頂きたい。
ってわけで、いきますか。
Kiseki Kobo Gamesさんのご紹介

今回のお相手:Kiseki Kobo Gamesさん
Kiseki Kobo Games (@kisekikobo) / X
制作中の作品 Funeral Flowers Lament: Helena
――では、まず自己紹介をお願いします!!

初めまして!
個人で「SRPG Studio」を使用し、ゲームを制作しているKiseki Kobo Gamesと申します。
物語を考えてそれを形にするのが好きです。
情熱をもって物事に取り組んでいる人は輝いていて大好きです。
よろしくおねがいします。
――軽いアイスブレイクからいきます!最近、急に暑くなってきましたが、Kiseki Kobo Gamesさんの暑さの凌ぎ方はなんでしょう?

暑さに強い身体を作ることで凌いでいます。
具体的には、汗腺トレーニングです。
お風呂に3分浸かり、1分クールダウン。
これを5セット行うことで、汗腺が鍛えられ、体温調節がしやすい身体になります。
――制作中のFuneral_Flowers_Lament_Helenaは一言で言うとどんなゲームですか?

一人ひとりの存在感を重視するSRPG
創作のための習慣
――創作のために、思いついたことを書き留めるノートをつけていらっしゃるとのことですが、本作ももしかして、こうしたノートから生まれた物語の一つだったりするのでしょうか?

本作は少し例外で、まずは「SRPG Studioに慣れよう」と気の向くままに作った世界観が基盤になっています。ツールを触りながら、物語としての長さと区切りを一つの作品として落とし込んだものになります。
ちなみに、創作ノートから生まれた物語は、別のツールで開発を進めると思います。
――創作のために、左手を使って右脳を鍛えることを習慣にされていると伺っております。
そのトレーニング内容を伺ってもよろしいでしょうか?

トレーニングの内容としては、以下になります。
左手で習字をする。
食事の際に左手を使う。
マウス操作も左手を使う。
特に絶大な効果を実感しているのは、左手を使って創作のアイディアを紙に書き出す行為です。漠然と出てきたアイディアを書き連ねることによって具体性を持ち、使える形にまとまっていくのは快感です。
創作のきっかけ
――創作活動を始められたきっかけについて、伺ってもよろしいでしょうか?

元々、いろいろな世界観を見て浸るのが好きでした。
自分だったらこんな世界が良い、こういう伝え方をしたらどういう反応をするだろうという思い付きがきっと創作のきっかけだったと思います。
――SRPG Studioの存在を知ったきっかけに、持辺高志さんの『ゴリアテの冒険』というゲームがあったと伺っております。この作品のどのようなところに惹かれましたか?また、本作制作にあたり、この作品を意識なさった部分はございますか?

自分の手でユニットを操作し、レベルを上げて敵を倒していく「成長を実感できる楽しさ」に強く惹かれました。「自分はこういうゲームシステムが好きなんだ」と再確認できた意義のある作品です。
『ゴリアテの冒険』は人を選ぶ内容が一部含まれていますが、人物同士の関係性の描き出しは個人的にとても評価しています。
登場人物がどういうモノの考えをしているのかわかることに、私自身は臨場感を覚えると自覚できたのは、創作においてとても大きな意義を持っています。
“人物中心”のスタンス
――葛飾六斎さんのインタビューで、「一人ひとりの存在感を重視する少数精鋭のSRPG」であることを、本作の特徴として挙げていらっしゃいます。
一人一人を細かく描写していくとなると、いかにもSRPGな大規模スケールのお話とは、方向性が違ってくるのかな?と素人目に思っています。
本作は「人数の少なさ」をどのようにしてシナリオとして生かしていくことを考えられたのか、お聞きしてもよろしいでしょうか?

私の創作スタイルは、一貫して「人物中心」です。登場人物たちがどういう人生を歩んできたのか、その結末から逆算して物語を紡いでいます。
キャラクターの数が多いと、どうしても一人一人へのスポットライトが分散して弱くなってしまいます。しかし私は、その人物の「生き様」をもっと深く知りたいし、書き留めたい。
私は作品において作者である前に読者です。
私の考える生き様とは、単に背景設定を盛り込むことではありません。「現時点でどういう思考でモノを考え、なぜその結末に至ったのか」が、第三者視点でも納得できる形で、一つの体験として描かれてこそだと思うのです。それを実現させるためには、どうしても登場人数を絞る必要がありました。
作者である前に読者
――「作者である前に読者」というスタンスが印象的です。そこでお聞きしたいのですが、登場人物を造形する際に、『キャラクターの人生をすべて把握している前提』で作られていますか?
それとも『作中で描写されず、もしかしたら自分の知らない人生の一幕もあったかもしれない前提』で作られていますか?
私自身、キャラクターの人生をすべて把握しているわけではありません。
むしろ、創作における原動力はキャラクターのことを深く知りたい好奇心です。
「どうしてこの結末に至ったの?」「なぜその行動を取ったの?」「あなたはそれで良かったの?」と、キャラクターとの対話によって物語が紡がれていきます。 すんなり答えが返ってくることもあれば、そうでないこともあります。
返ってこない場合は、それまでの彼らの歩みから理由を推測し、じっくり観察しながら答えを模索していきます。

キャラクターは作中で生きていますから、一見すると矛盾した行動に見えても、彼らの根底にある思想と照らし合わせると、必ず一本の筋が通っているんです。
その一貫性が見えた瞬間こそが、キャラクターが私に答えを提示してくれたときですね。 私は作者として、彼らの思想をくみ取り、描写することに徹しています。
キャラクターを深く知ろうと対話を重ねれば、おのずと魅力的な輪郭が浮き彫りになって読者の皆様にも伝わる、と信じています。プレイヤーの皆さんに伝わらないなら、それは私の描写不足です。
忘れられないゲーム三つ
――忘れられないゲーム三つと、忘れられない理由を教えてください!

①『シャイニング・フォースIII』
同じ時間軸を、別の主人公視点で描いていく3部作の構成に強い衝撃を受けました。「作品の世界観をより丁寧に、深く描き出す手法」として、時系列を変えずに視点を変えるという選択が今でも強く印象に残っています。
②『ドラゴンクエストVII エデンの戦士たち』
島ごとに独立した、濃密な人間ドラマが描かれる点が大好きです。島という閉鎖された空間(ミクロな視点)での物語を体験させてから、世界全体(マクロな視点)へと徐々に謎が解き明かされていく。作品の世界観を深く伝える技法として、素晴らしい構成だと感じています。
③『ファイアーエムブレム 聖魔の光石』
主人公ごとのルート分岐と、フリーマップによる育成要素が魅力的な作品です。主人公が切り替わり、一部別の視点から物語を追うことで、世界観により深く浸ることができました。また、クリアして終わりではなく、お気に入りのユニットを気が済むまで鍛えられる程よいやり込み要素も嬉しかったことを覚えています。
UIとシステムで大事にしていること
――非常に独自UIが作り込まれていて、X上でも頻繁にUI改善の進捗報告をなさっています。
UIを改修する時に、何を判断軸として「より良いUI」を追求されていますか?

長時間プレイできることを目指し、「ゲーム性のテンポ」と「知りたい情報が一瞬でわかること」の2つを最大の判断軸にしています。
ゲームは映像作品とは違い、プレイヤーが実際に操作する時間が大半を占めます。優れたUIほどプレイヤーに注目されることはありません。ですが、「注目されない=当然のように受け入れられている」と考え、それが「疲れにくい設計=長時間プレイ」につながると思います。
――本作は、三すくみの常識を破る武器(槍特効の剣など)やほとんどの武器がニマス攻撃可能など、従来にないシステムが取り入れられています。
こうしたシステムは、なぜ生まれたのでしょうか?

相性システムがあるゲームでは、「有利な相性で戦いたい」のがプレイヤーの本音です。しかし多くの作品では、相性を反転させる武器の登場が中盤以降だったり、高額で使うのを躊躇してしまったりする印象がありました。だからこそ自作では、それらを最初から「基本の戦術」として自由に組み込めるようにしたいと考え、実装しました。
また、標準武器を2マス攻撃にしたのは、純粋に「敵を倒す楽しさ」を味わってほしいからです。広大なマップを接敵するためだけに何ターンも歩き回るストレスを無くし、敵と交戦して撃破できる機会(テンポ)を増やすことを意識しました。
今後作りたいゲーム
――創作ノートから生まれた、別のツールで開発予定の物語の構想はどのようなものかお伺いしてもよろしいでしょうか?

剣と魔法のファンタジー世界を舞台に、癒しの秘術を巡る王国と帝国の戦争を描いた物語です。
国同士の争いを終結させるため、帝国の皇女姉妹が少数の護衛者と共に秘密裏に奔走します。
そのため、大軍勢がぶつかり合う全面戦争ではなく、少数精鋭の密使たちのドラマに焦点を当てています。
キャラクターたちの緊迫した旅路や人間模様を楽しんでいただけるような作品にしたいですね。
読者の方へのメッセージ
――読者の方へのメッセージをお願いします!!

ここまで読んでいただき、本当にありがとうございます!
本作は登場人物たちの人となりの描写や、プレイヤーの皆さんがストレスなく没頭できる快適さに、私のすべての情熱と思想を詰め込んだ作品です。
もし少しでも興味を持っていただけましたら、私の設計思想が詰まった作品『Funeral Flowers Lament: Helena』をぜひプレイしていただき、Steamへのウィッシュリスト登録を通じて応援してもらえると嬉しいです。
よろしくお願いいたします!
終わりに
いかがだったろうか。
Kiseki Kobo Gamesさんの創作スタンスの一端が垣間見えただろうか?
というわけで、インタビューに答えてくださったKiseki Kobo Gamesさん、並びにご紹介くださった葛飾六斎さんに感謝を!!
Kiseki Kobo Gamesさんのリリース前作品、『Funeral Flowers Lament Helena』についても特集しているので、気になった方は是非。
なお、『原風景、お邪魔します』では、今後もインディー ゲーム制作者の方にお話を伺っていく。
(もしインディーゲーム製作者の方で「ちょっと興味あるかもなぁ」という方がいらっしゃったら、お問い合わせフォームからご連絡いただけると嬉しいです。)
前回の『原風景、お邪魔します』では、2D表現に執念を燃やして模索を続けるMed.y.mさんにお話を伺っている。こちらも読んでみてもらえると嬉しい。
原風景、お邪魔します#4 Med.y.mさんにインタビュー ~模索は続くよどこまでも~ – Kaburanai Games
というわけで、よきゲーマーライフを!
最後まで読んでくださり、ありがとうございました!!
※ゲーム開発者様へ※
『リリース前語り』では、デモ版・アーリーアクセス版の実際のプレイ体験をもとに、作品が「なぜ」面白いのかまで踏み込むことを重視して、リリース前の作品の紹介記事とインタビュー記事『原風景、お邪魔します』の作成を行っております。
それにより、「この作品について、語ってもいい」という先例を作り、ファンコミュニティの種を蒔くことを目的としています。
ご興味がおありの方は、下記フォームよりお気軽にご連絡ください。

